ユーゴスラビア2
出典: Jinkawiki
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概要
一般的にユーゴスラビアと呼ばれるのは、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国のことで、このユーゴスラビア社会主義連邦共和国は、クロアチア、スロベニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、モンテネグロの6つの国からなる連邦国家である。首都は、ベオグラード。公用語は、スロベニア語、セルビア語、クロアチア語、マケドニア語。冷戦下において非同盟中立を維持していた。
1990年代から民族間での対立が高まり、その結果ユーゴスラビア紛争へ発展し、最終的にはユーゴスラビアの解体へと進んでいくこととなった。
歴史
第一次世界大戦後の1918年、オーストリア=ハンガリー帝国が崩壊し、スロベニア人・クロアチア人・セルビア人国が作られたが、1929年にはセルビア王国がそれを吸収した形でユーゴスラビア王国が建国された。ユーゴスラビア王国が崩壊し、1943年にはユーゴスラビア民主連邦が建国され、1946年にユーゴスラビア連邦人民共和国となり、1963年にはユーゴスラビア社会主義連邦共和国へと改称された。ユーゴスラビア社会主義連邦共和国崩壊後に残ったセルビアとモンテネグロは1992年にユーゴスラビア連邦共和国を建国したが2003年にはセルビアとモンテネグロの国家連合となり、ユーゴスラビアの名前は消えることになった。
ユーゴスラビア紛争
1980年、当時の指導者であったヨシップ・ブロズ・チトーが死亡すると、ユーゴスラビアには民族主義が台頭するようになり、コソボ自治区ではアルバニア人とセルビア人の間での対立が激化しアルバニア人のコソボ独立運動が高まりを見せてきた。そして、1990年7月にコソボは独立を宣言した。これをきっかけとして内戦状態となった。このユーゴスラビア紛争では、1991年から1995年まで続いたクロアチアとセルビアの間のクロアチア紛争、1991年スロベニアが独立をした十日間戦争、1992年から1995年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、1996年から1999年のコソボ紛争、2001年のマケドニア紛争などがある。ユーゴスラビア紛争では7000人以上が虐殺されたスレブレニツァ虐殺に代表されるような大量虐殺、強姦など民族浄化が大規模に行われた。元々民族浄化という言葉はこのユーゴスラビア紛争においてクロアチアが行ったプロパガンダが語源となっており、ユーゴスラビア紛争で世界中に広がった言葉である。北大西洋条約機構であるNATOがセルビア人勢力に対し空爆を行い、冷戦終結後のヨーロッパ諸国に影響を及ぼしたが、セルビア人勢力は大きな打撃を受け、和平交渉に応じることになる。そして1995年11月、デイトン合意が成立した。ユーゴスラビア紛争全体で死者は数十万人、難民は数百万人に上るとされている。
旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所
ユーゴスラビア紛争終結後、紛争で行われた一連の国際人道法に違反した責任を有する者を訴追するため、1993年に旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)が設置され、合計161人が訴追された。旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷ともいわれる。セルビアの初代大統領でアルバニア人に対する虐殺の責任者として起訴されたスロボダン・ミロシェビッチは2006年に獄中で死亡したが、判決は証拠不十分で無罪とされた。セルビア人勢力の代表であったラドヴァン・カラジッチは大量虐殺などの戦争犯罪について禁錮40年を言い渡された。同じくセルビア人勢力で司令官だったラトコ・ムラジッチは終身刑を言い渡された。2017年11月29日には、クロアチアの軍事組織にいたスロボダン・プラリヤックが、禁錮20年の判決を言い渡された後、ビンに入った毒を飲み自殺するという非常にショッキングな事件が起こった。この時の映像はインターネットなどで生放送されており、全世界に衝撃を与えた。旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所は2017年末で終了したが、プラリヤックの判決が旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所最後の判決となった。
参考
- 木村元彦 『終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ』 集英社
- 徳永彰作 『モザイク国家ユーゴスラビアの悲劇』 筑摩書房
- 月村太郎 『ユーゴ内戦:政治リーダーと民族主義』 東京大学出版会
- 『ボスニア虐殺でカラジッチ被告に禁錮40年判決』 BBCニュース, 2016年3月25日 http://www.bbc.com/japanese/35897925
- 『旧ユーゴのムラディッチ被告に終身刑 ボスニア虐殺の罪』 BBCニュース, 2017年11月23日 http://www.bbc.com/japanese/42090766
- 『「私は戦争犯罪人ではない」国際戦犯法廷で服毒自殺』 BBCニュース, 2017年11月30日 http://www.bbc.com/japanese/42177442
投稿者 George