ラマダン2
出典: Jinkawiki
ラマダン月というと断食ばかりが注目されるが、ラマダン月には日中に飲食を絶つ事のみならず、煙草や性交渉や低俗な関心事に思いを馳せることすらも絶たないといけない。
イスラム教には六信五行と呼ばれる規則がある。
六信 1.アッラー 2.天使 3.啓典 4.預言者 5.来世 6.天命
五行 1.信仰告白 2.礼拝 3.斎戒 4.喜捨 5.巡礼
六信とはモスリムが信じるべきものであり、五行とはモスリムが行うべき義務だ。五行の中の「斎戒」が、ラマダン月に断食を行う義務のことである。
斎戒という言葉は、「神仏に関係ある物事や神聖な仕事などをするときに、飲食、動作を慎み、時に一定の規律を守って、心身の穢れを去ること。ものいみ。潔斎。」ということだ。ラマダン月の義務は断食ではなく斎戒である、ということになる。
ムハンマドは、ラマダン月に初めてアッラーの啓示を受けたのだという。そうした理由からラマダン月は神聖な月であり、コーラン(ムハンマドが聞いたアッラーの啓示を記録したもの)の雌牛章の中で、モスリムは斎戒を行うべきだと述べられている。 また、ハディス(ムハンマドが預言した事に関して、後世の人が記録したもの)の中では、「ラマダン月には天国への門が開かれ、斎戒を行ったものだけがその門をくぐることができる」と書いてある。
「ラマダン月は神聖な月だからこそモスリムは飲食・行動を慎み心身の穢れを取り去るのだ」と考えた時に、ラマダン月に断食をする理由というのもよく理解できた気がした。神事に取り組む際には、自然と動作を慎んで、規律を守り、欲望を抑えるようになるということが実感としてわかる
ちなみに、上に述べた「五行」をモスリムの義務とする事には、社会学的・文化人類学的な機能が存在するとも考えられる。「巡礼」や「断食」という共有体験を信者の義務とすることで、モスリムのアイデンティティーが強化されて、イスラム教が普及し維持されていくという側面がある。
オリンピック 直近の出来事でラマダンを目の当たりしたことと言えば、オリンピックが挙げられる。 サッカーの日本代表が対戦したモロッコ代表や、エジプト代表はラマダン中で満足にプレーすることができなかったと言える。そのため、エジプト代表の決勝トーナメント進出は快挙といえた。 しかし、ラマダン期間中は、昼間は食べることを控えるが夜間は飲み食いをしていいと言われる。実際にラマダン期間中に太る人も多いという。