リアス式海岸
出典: Jinkawiki
リアス式海岸とは、丘陵性またはまたは山地性の海岸において、平面形がらっぱ状、あるいは樹枝状の湾を形成した海岸地形のことである。 山地の稜線部が半島になって海中に突出した形をしている。 成因は、陸上侵食によって形成された谷が、海面の上昇、または地盤の下降に伴う沈水によるものである。 なお、氷食が成因であり、水深も浅い点で、フィヨルドはリアス式海岸とは異なる。 リアス(rias)は、スペイン北西のガリシア地方、アストリア地方、の山地に発達する細長い入り江の名称リアの多い地方(Costa de Rias Altas)の名称に由来する。単にリアス海岸ということも多い。 日本の海岸にはリアス式海岸が多く存在し、代表的な地形としては、東北地方の三陸海岸、四国海岸、九州北西海岸、福井県の若狭湾などである。
リアス式海岸は、複雑に入り組みあった江内であること、波が低く水深が深いことから、古くから港として使われた。
また、汽水域としての環境もためある、沿岸漁業や養殖などの漁業が中心として営まれ、港町として栄えてきた。
海岸線に対して垂直に開いている点もリアス式海岸の特徴であるが、津波が発生した場合、入り江が湾口に較べて奥の方が狭くなっているため、 波が通常よりも高くなり、被害が大きくなる。そのため、津波を防ぐための高い防潮堤を設けるなどの対策が取られている。 また、湾内では一度押し寄せた津波が反射波となって対岸同士を繰り返し押し寄せるため、津波の永続時間が長いことも知られている。
リアス式海岸は、中学校社会であると地理の第2章『都道府県の調査』で取り上げられ、高校では第1章『現代世界の系統地理的考察』の「地形の成り立ち」で 取り上げられる。 中学社会では特に、東北地方の岩手県の学習において、リアス式海岸を取り扱う。 三陸海岸とは、青森県八戸付近から宮城県牡鹿半島までの約600kmの太平洋岸である。海岸線全体の北半部が切り立った海食崖が続くのに対し、 宮古より南では海岸線は屈折に富み、数多くの湾入と岬とが連なったリアス式海岸が発達している。 これらの海岸段丘は、かつての海岸線付近にできた平坦な土地であり、北部陸中海岸は、海岸線が隆起したことによって生まれた海岸であると考えられている。 リアス式海岸を構成するそれぞれの湾の水深は、湾口部で100m前後と深い湾入となっているが、これより水深が深くなる外洋部では、湾は消失する。
参考文献
小池一之・田村俊和・鎮西清高・宮城豊彦(編) 宮内崇裕(著) 2005 日本の地形3東北 東京大学出版会
渡邊静夫(編) 豊島吉則(著) 1988 日本大百科全書23 小学館
田邊裕也他(著) 2003 新しい地理 東京書籍
山本正三他(著) 2003 新説新地理B 二宮書店