ロシアの学校制度
出典: Jinkawiki
1.学校の風景 ロシアの学校体系は、2005年現在、初等中等普通教育は11年体制で、就学年齢は6歳半となっている。初等中等普通教育は、初等教育段階(1~4学年)、基礎普通教育段階(5~9学年)および、中等普通教育段階(10・11学年)に区分される。このうち、基礎普通教育段階までの9年間が義務教育とされており、第9学年修了時には国家修了試験を受けることが義務付けられている。第9学年修了後、約15%の生徒が初級レベルの職業教育を行う職業技術学校、もしくは中級レベルの職業教育を行う中等専門学校へ進学している。これらの職業教育機関には、中等普通教育学校第11学年修了後に進学することもできる。 社会・経済が大きな変化を遂げている最中も、ロシアの子どもの大半は、相変わらず学校生活を中心とした日常生活を送っている。児童生徒が集団で登校する習慣はなく、各自バラバラに登校する。低学年の子どもの場合は父母や祖母が送り迎えをすることもある。1990年代から公立学校の選択制が導入されているところが多い。学校を週5日にするか、6日制にするかについては、学年歴と合わせて各学校で定め、地方教育行政機関の承認を得ることになっている。
2.学校教育の特色 ロシアでは学校の多様化を促進する教育課程基準が設けられている。ソ連時代末期の1980年代末から教育行政の地方分権化が推進され、国の定める教育課程基準も弾力化されたことから、国公私立の各初等中等普通教育学校において民族や地域の実情に応じた教育を提供することが可能となった。 また特色あるカリキュラム・教材も開発されている。教科構成は、学問分野に対応して細分化されているが、1980年代後半から導入されている初等教育段階の「まわりの世界」は理科的要素と社会的要素を含み、日本の「生活科」によく似た合科的学習の時間である。また社会の新たな課題に対応したカリキュラムの開発が進められた。このように開発された新しいカリキュラムは教科横断的な内容構成となっているものが多い。この教育実践を行うために、教科書や副教材の種類も多くなっている。
3.学校改革の動向 ロシアでは教育の現代化が進められている。1999年の大晦日、ロシア連邦初代大統領エリツィンの突然の辞任に伴い、大統領代行となり、翌2000年3月に当選したプーチンは、ソ連時代の教育と科学の成果を再評価し、再集権化によって大国ロシアを蘇らせようとする動きをみせている。2025年までに、偉大な国家としての世界共同体におけるロシアの地位の確立、ロシアの統一的教育空間の維持と発展による国家の安全保障の維持を達成することが目標として掲げられた。 こうしたプーチン政権による中央集権化によって、90年代を通してきわめて多様化した学校教育にどのような影響が現れるのか、注目されている。