ロシア東シベリアの天然ガス開発
出典: Jinkawiki
ロシア東シベリアの天然ガス開発
2007年にロシアが策定した「東宝ガスプログラム」がある。サハリン、ヤクーチャ、イルクーツク、クラスノヤルスクの4つの天然ガスの生産センターがあり、天然ガスパイプラインを引いて、このような形で生産しようと東に出すのはヤクーチャ、サハリンくらいで、イルクーツク、クラスノヤルスクは西に出そうという案だったが、どんどん計画が変わっている。例えば、イルクーツク州のコビクタ・ガス田は、恐れらくは中国の方に出すのが決まったので、当初の計画とは変わっている。サハリンからハバロフスクまではパイプラインができている。ハバロフスクからウラジオストクは天然ガスのパイプラインはなかったが、2009年、ハバロフスク近郊で工事開始になり、2年後の2011年APECの会場になったウラジオストクのルースキー島までパイプラインが届いた。それまでウラジオストクは 石炭で暖房や発電をしていた。これでは大産ガス国としてのメンツが立たないということで、パイプラインを引いてガス化を進めている。 シベリア奥のチャヤンダ・ガス田も、ロシアと中国が2014年5月21日、年間380億㎥を30年間供給することで合意した。30年というのはガス契約の中では一番長い。10年間交渉して、値段は1000㎥あたり387ドルと欧州レベルよりも若干高いがようやくまとまった。中国は今、PM2.5など環境問題でにっちもさっちもいかず、天然ガスシフトを急がなければいけないということで見切りをつけたことが一つ。それから中国は、実は四川省でシェールガス開発をやっていたのである。これが出てくればあまりロシアのガスを買わなくてもいいという期待があったあ、開発にはまだだいぶ時間がかかりそうだということで、中国側も「ここらでそろそろ交渉妥結だろう」ということになった。 ロシアは、ウクライナ問題のあとで中国に譲歩したら「これは制裁が効いているな」ということを世界中に宣伝するようなことになるわけで、譲歩しなければならないのであれば契約はしないだろうという見方もあった。 結局、ほぼ合意したことになったわけだが、そのために開発するガス田が、チャヤンダ・ガス田である。パイプラインの名前が「シベリアの力」という。チャヤンダ・ガス田からブラゴベシチェンスクを通って中国へ、2019年に稼働開始予定である。ガスはサハリンからも来るが、ここでのガス田の開発は若干遅れている事情がある。ただ、いままでパイプラインが全くなかった北東アジアに、石油のパイプラインが2012年に完成した。2019年には天然ガスのパイプラインがはぼ動くよう形で、パイプラインがユーラシア大陸の東西にしっかり拡大している。
参考文献
塩川伸明・池田嘉郎編(2016)東大塾 社会人のための現代ロシア講義 東京大学出版会 河原祐馬・島田幸典・玉田芳史編(2011)移民と政治 ナショナル・ポピュリズムの国際比較 昭和堂