ワシントン条約
出典: Jinkawiki
ワシントン条約とは、国際協力によって野生生物の国際取引を制御し、野生生物の絶滅を防止することを目的とした条約である。正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」という。1973年に米国ワシントンで行われた会議で採択され、1975年に発効された。会議開催地にちなみワシントン条約、または英語正式名称の頭文字をとってCITESと略称される。日本は1980年に批准した。
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設立の経緯
1972年にストックホルムで開催された「国連人間環境会議」において、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保護を図るため、野生動植物の輸出入等に関する条約採択会議の早期開催が勧告された。 これを受け、アメリカ合衆国の主催により1973年にワシントンにおいて南アフリカ共和国、コスタ・リカ等81か国が参加して「野生動植物の特定の種の国際取引に関する条約採択のための全権会議」が開催され、同年3月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」が採択された。本条約は、1975年4月2日に所定の発効条件を満たし、同年7月1日に効力を生ずることとなった。 日本は、この会議に出席し、1975年4月30日に本条約に署名。その後国内関係者の調整等を経て、1980年4月25日第91回通常国会において本条約の締結が承認され、1980年11月4日から発効した。 本条約には、先進国及び発展途上国の多くが加盟し、2009年4月現在で175か国・地域が締約国になっている。
概要
ワシントン条約(CITES)(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)は、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、採取・捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的としている。絶滅のおそれの程度により、野生生物種を附属書I・Ⅱ・Ⅲによって掲載され、国際取引が規制されている。各締約国は輸出・輸入に際しての許可証、証明書を発行する「管理当局」と、管理当局に科学的見地から助言を行う「科学当局」を指定しなければならない。日本の場合、管理当局は輸出入について経済産業省、海からの持ち込みについては水産庁となっている。科学当局は、カリフォルニアラッコ、アシカ科、アザラシ科、クジラ目、海牛目、ウミガメ科、オサガメ科、魚上鋼、軟体動物門については水産庁(増殖推進部漁場資源課 生態系保全室)。草本類については農林水産省本省(生産局 果樹花き課)。木本類については林野庁(森林整備部 研究普及課)。それ以外は環境省(自然環境局 野生生物課)とされている。
附属書
以下は附属書の内容である。
附属書Ⅰ:絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるもの。商業取引を原則禁止する(商業目的でないと判断されるものは、個人的利用、学術的目的、教育・研修、飼育繁殖事業が決議5.10で挙げられている)。取引に際しては輸入国の輸入許可及び輸出国の輸出許可を必要とする。
附属書Ⅱ:現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その標本の取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となるおそれのある種又はこれらの種の標本の取引を効果的に取り締まるために規制しなければならない種。輸出国の許可を受けて商業取引を行うことが可能。
附属書Ⅲ:いずれかの締約国が、捕獲又は採取を防止し又は制限するための規制を自国の管轄内において行う必要があると認め、かつ、取引の取締のために他の締約国の協力が必要であると認める種。附属書 III に掲げる種の取引を、当該種を掲げた国と行う場合、許可を受けて行うことが可能。
留保
条約加盟国は、附属書に掲げる種について留保を付することができることとなっており、留保を付した種については、締約国でない国として取り扱われることとなる。現在、日本が留保を付している種は、マッコウクジラ・ツチクジラ・ミンククジラ・イワシクジラ・ニタリクジラ・ナガスクジラ及びカワゴンドウ。そして、ウバザメ・ジンベイザメ・ホホジロザメ及びタツノオトシゴ属全種である。
課題
本条約で決められていても、野生生物の密輸入の問題は今なお懸念されている。だが、輸出入を取り締まる税関はすべての貨物や手荷物を検査するわけではない。また、日本の税関にはワシントン条約あるいは野生生物専門の取締官が配置されていない。条約附属書掲載種の識別のための実践的なマニュアル整備や職員の訓練も不十分である。税関職員が条約に違反して輸入されたものを裁判所の判決を経ずにただちに没収するための規定も、ワシントン条約違反の場合には適用されていない。などといった課題もある。
参考文献・資料
「生態学から見た野生生物の保護と法律」(日本自然保護協会 講談社サイエンティフィク)
外務省:ワシントン条約 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/wasntn.html
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