ワールドオリエンテーション
出典: Jinkawiki
概要
ワールドオリエンテーションとは、オランダ・イエナプラン教育の輪での話し合いを基礎にした循環的な総合学習の形態である。イエナプラン教育では、理科、社会の区別はなく、このワールドオリエンテーションという総合学習の形態を用いる。
特徴
イエナプランの学校を訪れると、必ずといっていいほど先生と生徒が輪を作って話を聞いたりお互いに話し合ったりしている。教師は黒板に物を書きながら大声で話すのではなく、手を伸ばせばすぐに子どもに届く身近な距離で本を読んだり、理科や社会のテーマに関わることを子どもたちに説明している。イエナプランでは、この輪を作り、話し合うことを重要としている。輪の中での話し合いから学習のきっかけが刺激され、そこから今度は一人で何かについての本を読んで調べたり、感想や報告を書く。また、再びグループの中で感想や報告を発表する 年間およそ8~9のテーマを決め、学年全体で同じテーマに取り組む。テーマは、7つの『経験領域』と『時間』『空間』について循環的に取り上げられる。7つの経験領域とは、①作ること、使うこと(労働や消費活動など)②環境と地形(人、植物、動物、地球宇宙環境など)③巡る一年(一年の月日、催しや祝日など)④技術(建設、道具、システム、原料、エネルギーなど)⑤コミュニケーション(対人、対植物、対自然、対外国人など)⑥共生(社会に帰属、ともに生きるなど)⑦自分の人生の7つである。子どもたちの年齢が進むにつれ、これらの領域を網羅する具体的な事象が次第に抽象性の高い理論へと結び付けられ、歴史・地理・理科といった教科的な専門分野へ至る。 『時間』についてとは、自然の中で時間を測る、時間について哲学する、循環する時間などである。『空間』についてとは、空間を意識する、空間の価値を認め、使用について考える、考慮した思考を発達させる、空間と共同社会、空間と時間などである。
オランダ流総合学習
ワールドオリエンテーションでは、初頭教育段階の子どもが、具体的で身近な子ども自身の日常生活の様々な場面を学習のきっかけにすることができるように教材が作られている。小学校の科目の中でも学校や先生の独自性がもっとも発揮される分野のひとつである。抽象性よりも具体性を重んじるオールタナティブ教育の創設者や考案者たちが力を入れてきた部分である。 授業は、まず、子どもたちが教師とともに集団で行う活動が考えられている。まさに、イエナプランが昔からやってきた通りの教室の中に設置されたコーナーに行く、という方法をそのまま導入している。具体的な、教材として教師が説明する際に見せる紙芝居のような絵、コピーして配る課題、ビデオやCD、学習テーマごとに用意する素材などが細かく用意される。 現在日本の文部科学省の指導によって中核目標に取り入れられている『人類や世界へのオリエンテーション』という総合科目は、イエナプラン教育プランのワールドオリエンテーションがモデルになったものと考えられている。
(参考文献) http://www.japanjenaplan.org/日本イエナプラン教育教会 オランダの教育 多様性が一人ひとりの子供を育てる リヒテルズ直子 平凡社