一人っ子政策2
出典: Jinkawiki
中国の人口は世界1であり世界に9人に1人が中国人といわれているほどだ。(ここでいう中国人とは華人のこと)私たち日本では少子化が問題になっており子供を多く生むことは良しとされてきているが中国ではそうもいかないだ。少しでも人口の拡大を抑えるべく出された政策が、一人っ子政策である。
目次 |
<一人っ子政策とは>
一人っ子政策とは 「1979年から中国で行われている人口抑制政策。 都市部では子どもが一人だけの家庭に優遇を与え、2人以上の家庭には住居や税金などの負担を重くすることにより、人口抑制を図り、都市は一人の子ども、農村ではさまざまな条件付で適当な出産期間を置けば2人の子どもを持てる制度である。 少数民族はそれぞれの人口規模や住居地に応じて2人またはそれ以上の子どもを持つことが認められている。」 一人っ子政策は多くの子どもを望む夫婦の権利を制限し、政策に違反した夫婦に超過出産費を徴収するなどしたため、政府の計画出産管理に反感を持つ農民も少なくなかった (補足として:中国に住む少数民族や子供を労働力としている農村地域では第二子、三子がいる家庭も珍しくない。中国国内で一律に「一人っ子」としているわけではないのです。)
.一人っ子政策の背景
現在、中国は12億8000万人を抱える世界最大の人口巨人国である。 しかし、これは自然に12億8000万人という人口になったのではない。党による”一人っ子政策”で女性が一生に子どもを産む数、合計特殊出生率の押さえつけがあったからである。 では一人っ子政策はいつからのことなのであろうか。 もともと中国では伝統的に「多子多福」つまり、子だくさんが福をもたらすという考えがある上、人口=国力という考えが一般的であった。 多子多福の考えは1950年代、とりわけ大躍進運動において、毛沢東推し進めた。 人口抑制策の提言を退け、人口は多ければ多いほど生産力の発展にもよいという「人口資本説」を打ち出し、多産を奨励したため人口が爆発的に増加したのだ。 (50年代の総人口は5億人程度であったが、60年代後半には総人口は8億人に達した。) だが、1970年代に入り、過剰な人口が国の発展の妨げになるとして、晩婚と少子を奨励するようになった。そして、70年代末からの改革開放とともに、強力な「一人っ子政策」の実施に踏み切った。 一人っ子政策といっても、決まった法律はなく、国の指導に従って各地方が具体的な政策を決め実施するというものだった。 特徴としては、都市部には厳しく、農村部には寛容、漢族には厳しく、少数民族には寛容、などである。 具体的には、農村では1人目が女子の場合、2人目持つことが認められる。一人っ子家庭に”7優先”といわれる保育・入学・医療・就職・進学・都市住宅・農村宅地用地配分を受けることができる優遇や特典を与える。 2人目を生んだ場合は、出産費・産休期間の賃金カット、多子女費や超過子女撫育費という罰金が徴収されるなどの罰則が課せられる。 また、地域の党幹部などが2人目を生もうとする夫婦に対して厳しく指導するなどの方法がとられている。 都市部での現在での二人目の罰金は「8万元」、一般人の給料80ヶ月分と法外な罰金が課されることになる。。 こうした半ば強制的な一人っ子政策は、人口増を抑制するという点では成功した。 70年代まで合計特殊出生率は5から6の水準であったが、70年代に一人っ子政策が協力に実施され、92年ついに1.84にまで低下した。 現在、中国の人口増加率は2%を下回り、先進国の水準近くまで減少している。
(補足として:人口増加率は減少しているが、高齢化率は反比例して増加している。これによって、中国は2つの人口政策を行うことを要求されている。)
==
<問題点> ==
一方、一人っ子政策がもたらした問題も多い。 まず、人口の高齢化。2030年頃には65歳以上の老年人口が15%になる高齢化社会の急激な到来が予想される。 つぎに妊娠→性別判定→男→出産or妊娠性別判定→女→人口流産。このように選択性流産が行われていることである。当局は、胎児の性別判定検査を厳禁しているが、男児の後継者希望にこたえる意思が後を絶たない。 このことは男女比のアンバランスを誘い、農村部での伝統的な男子選好は、女子の間引き、捨て子などの人権問題、嫁不足などをもたらしている。 (中国人口統計年鑑によると、女100に対して、0歳児=男117.25、1歳児=男118.89、2歳児=男118.78、3歳児=男119.41、4歳児=男121.06、5歳児=男117.25 出生男女比は国際的基準で106:100が正常とされている) 上記の問題とも関連し、女の子が生まれれば出生届を届け出ないことや、男の子でも第二子なら出産しても戸籍に入れない、いわゆる「闇っ子(黒孩子)」問題がある。 闇っ子などは届け出ないことで教育、医療などの行政サービスも受けられない。 さらには、一人っ子に対する過保護問題、これは2人の親と、4人の祖父母が可愛がり「小皇帝」といわれ、指摘されている。 現在2004年時点ではすでに一人っ子政策開始から20年以上が経過している。このまま一人っ子政策を進めていけば、歪な人口構成の社会になり、高齢化社会の急激な到来に対応できなくなる怖れがある。 欧米諸国の人権批判もある。一人っ子政策が、多くの意味で修正、改革を迫られていることも事実である。
(補足として:中国の年金制度を知っていますか?アメリカもそうですが、企業の負担割合がかなり大きい。特に中国ではそれが顕著です。よって、計画動員によって多くの労働力を雇っていた国営工場は年金支払い分で経営が成り立たなくなっていることがある。)
まとめ
「中国の人口数は21世紀も引き続き増加し、生産年齢人口が急増し、人口の高齢化が加速し、 人口の都市化が早まり、人口の質が絶えず向上するという五つの大きな傾向が見られる」と予測した[新華社通信] 中国大陸の人口は国連推計によれば、2040年に15億400万人でピークに達した後、人口は徐々に減少すると予測している。 生産年齢人口は、実数では2025年にピークを向かえ10億1400万人となる。生産年齢人口の比率が高く、扶養される年少人口と老人人口の比率が低ければ、労働力の社会的負担が比較的軽く、労働力資源の豊富さと言う優位性を発揮するのにプラスとなる。しかし、それは同時に厳しい挑戦でもある。労働力の供給が増え続け、高い水準に維持されれば、就業負担が増大し、雇用創出力を高めていかねばならないからである。 中国は2000年以降、高齢化社会となり、人口の高齢化が加速されている。日本では2000年に老齢人口が年少人口を率、数ともに上回っているが、中国では2040年に同様の状況になると見られている。 急速にくる高齢化に向けて高齢者養護保証体制作りと、人口の高齢化が経済、社会に与える影響を予測して、掘り下げた研究を行い、確実な対処策を講じておく必要がある。 人口の質の向上については平均寿命の延びと教育水準の向上が期待される。2040年までに平均寿命は男性が67.9歳から76.4歳へ、8.5歳のび、女性は72.0歳から81.0歳へ9年延びる。 教育水準も文盲、半文盲の割合が男女とも3%程度にし、男女格差・地域格差をなくすことが望まれる。 2002年9月、政府は初めて「人口・計画出産法」を施行した。産児制限について詳細に規定した同法は、法定結婚年齢(男22歳、女20歳)より3年以上遅い「晩婚」と「一人っ子」の奨励を明記し、これを守る家庭には教育や医療、住宅などで優遇する方針を打ち出す一方で、省・自治区・直轄市の人民代表大会が、地域の実情に応じて例外的に第2子の出産を認める規定を設けられるとしている。 政府は同法施行後も一人っ子政策の緩和はしないとしているが、今後、適齢期を迎える男女は一人っ子が中心のため、第2子の出産が認められるケースが増えることから、一人っ子政策は徐々に形骸化していくと思われる。 もっとも、上海や北京などの大都市では、高い教育費や家庭観から一人っ子が浸透している。規制が緩んだからといって、2人目を生もうという夫婦は多くはないだろう。中国の人口問題とは、農村部の過剰人口問題である。そのためには、農村部の発展と都市の形成、農民のある程度の豊かさの享受が欠かせない。 一人っ子政策による中国の人口増加率の急速な低下は、世界の中で経済発展水準が中程度の国においても、政府が家族計画に努力すれば、人口増加を抑制する ことが可能であると実証するものである。
参考文献
若林敬子『中国 人口超大国のゆくえ』 岩波新書 小島麗逸 『現代中国の経済>』 岩波新書 『中国研究ハンドブック』 岩波書店