世界無形文化遺産

出典: Jinkawiki

世界無形文化遺産

2006年1月20日、「無形文化遺産の保護に関する条約(無形文化遺産条約)」(“Convention for the Safeguarding of Intangible Cultural Heritage”)の 締約国が30カ国に達したことを受け、 3ヵ月後の2006年4月20日に同条約は発効された。

無形文化遺産保護条約の目的は、

(a)無形文化遺産を保護すること

(b)関係のある社会、集団および個人の無形文化遺産を確実に尊重すること

(c)無形文化遺産が重要であり、さらに無形文化遺産に対する相互理解を確実に深めることが重要であるという意識を地域的、 国内的、および国際的に高めること

(d)国際的な協力および援助についての規定を設けること

無形文化遺産(”Intangible Cultural Heritage”)は、人びとの慣習・描写・表現・知識及び技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間のことをいう。 世界遺産は建造物など形があり、動かないものであるのに対し、無形文化遺産は形にならない人間が持つ知恵や習慣などをさす。

特に、次のような分野が無形文化遺産に含まれる。

1.口承による伝統及び表現(言語を含む)

2.芸能

3.社会的慣習

4.儀式及び祭礼行事

5.自然及び万物に関する知識及び慣習

6.伝統工芸技術   等

これらについて、「人類の無形文化遺産の保護に対する普遍的な意思及び共通の関心を認識し、 社会(特に原住民の社会)、集団及び場合により個人が無形文化遺産の創出、保護、維持及び再現に重要な役割を果たすことにより、 文化の多様性及び人類の創造性を高めることに役立っていることを認識し」(無形遺産条約前文より抜粋)て、 条約を採択するものとしている。

ただし、上記に該当する無形遺産ならなんでもよいというわけではなくて、 「無形文化遺産の保護に関する条約」というとおり、 保護に値し、保護しなければ消滅の危機にあるような物件が対象となる。


日本の無形遺産

日本からは、平成13年度に「能楽」、平成15年度に「人形浄瑠璃文楽」、平成17年度に「歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎)」が宣言されている。

■能楽 能楽は、能と狂言の総称。能は14世紀頃に大成した、謡(うたい)と囃子(はやし)を伴奏に舞踊的な所作でストーリーが展開する歌舞劇。様式化された極めて簡素な表現形式によって人の感情を繊細に表現する。一方、狂言はせりふによる喜劇であ、庶民の生活にみられるさまざまな笑いを描く。能楽は後の人形浄瑠璃文楽(にんぎょうじょうるりぶんらく)や歌舞伎、さらに現代の芸術活動にも大きな影響を与えてきた我が国の代表的な伝統芸能であり、重要無形文化財に昭和32年に指定されている。


■人形浄瑠璃文楽 人形浄瑠璃文楽は、三味線音楽の義太夫節(ぎだゆうぶし)に合わせて人形操作を行う音楽劇。18世紀に大成した。義太夫節を語る太夫、その伴奏をする三味線方は、登場人物の性格や喜怒哀楽の心情を語り分ける。また、1体の人形を3人で操作する工夫により、人形の写実的な動きが可能となり、浄瑠璃と一体となって舞台上で高い芸術性を示す。人形浄瑠璃文楽は、我が国の代表的な伝統芸能であり、重要無形文化財に昭和30年に指定されている。


■歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎) 歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎)は、我が国の代表的な伝統演劇の一つ。1603年に京都で、阿国が中心になって演じた芸能が始まりとされている。特徴は女性役を「女方」といわれる男性が演じ、伝統的な演技やせりふなどの表現手法を用いる。また、伝統的で独特の衣裳や鬘、化粧、大道具・小道具、舞台機構、複雑で多様な音楽、拍子木・ツケなどが総合的に一体となって、一定の伝統的な演技演出様式による芸能となっていること。この伝統的な歌舞伎は、日本の歴史と風土から生まれ、日本人の感性を反映させた伝統芸能であり、現在も多くの人々の支持を受け、今なお多様な芸術文化活動に影響を与えている。



◇参考文献

『社団法人 日本ユネスコ協会連盟』 http://www.unesco.jp/contents/isan/intangible.html

『世界無形遺産と無形遺産候補90件全リスト』 http://allabout.co.jp/gm/gc/66305/

『文化遺産オンライン』 http://bunka.nii.ac.jp/Index.do


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