中国の大気汚染2

出典: Jinkawiki

中国の大気汚染について

中国は世界第2位の石炭産出国であり、米ソに次ぐ世界第3位のエネルギー消費国である。 中国ではエネルギー生産の70%以上を石炭に依存しているために、大都市では粉じんと二酸化硫黄(SO2)による激しい大気汚染が生じている。また、最近では石油化工区や自動車交通量が急増している大都市では、光化学スモッグも生じている。 中国の石炭は硫黄含有率が高く、洗炭等による脱硫も余り行われていないため、石炭燃焼に伴い大量のSO2が大気中に放出されているこの大量に放出されたSO2は、中国北部にみられる塩基性土壌やアンモニアガスによる緩衝作用が乏しい西南地区の重慶や貴 陽においては酸性雨による大きな被害をひき起こしつつある。 欧州や北米で は森林枯損や湖沼の酸性化がかなり以前から問題になっており、いわゆる酸性雨問題の主要原因物質としてSO2が考えられている。酸性雨について注目すべき点は、それによる被害が汚染物質排 出国以外にも風向次第で国境を越えた他国へも及ぶことである。ヨーロッパではこの広域汚染問題に対処するために、長距離越境大気汚染防止条約が締結されてい る が、その他の地域で はまだ放置されたままである。 日本ではかつての危機的な大気汚染状況は解決したが、隣国である中国や韓国では経済発展に伴って大気汚染物質の放出量が著しく増大、危機的状況を迎えつつある。1986年4月26日のソ連の チェルノブイリ原子力発電所の事故による放射性物質は数千km離れた日本にも飛来したし、さらに中国黄土高原の砂塵 が黄砂として毎年春先に日本へ運ばれていることは衆知の事実である。したが って、欧州や北米の酸性雨問題にみられるように、今や大気環境の保全は自国のみでは不可能であり、アジア地域でも各国の連帯と協力に基づく広域汚染防止対策が緊急のものとなりつつある。よって,自国の大気環境の保全のためには、隣国の大気汚染の現状と特徴を把握し、それに基づいた隣国への公害防止技術の移転を含めた公害の除去 への国際協力がますます重要になってきている。

参考文献 坂 本 和 彦,George,G.,君島克憲,内山政弘 30-Dec,2,1987,Tokyo,Japan


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