人工知能型潜水ロボット

出典: Jinkawiki

最近のエレクトロニクス技術の発達により、無人機に人工知能を持たせて、あらかじめ予定された針路をプログラムしておき、それに従って、忠実に海中を進んでいく。それが人工知能型潜水ロボットである。やや進歩したものでは、障害物などを判断して針路や高さを修正しながら走る、いわば「海中ロボット」もあり、近年急ピッチで開発が進められている「長距離潜航型無人潜水機」と呼ばれているものがそれである。現在のところ、潜航深度は数100mから数1000mで、航続距離は数100kmを目指しているものが多い。このタイプの無人機は軍事的な目的ものはともかく、海洋学の調査・研究の分野では普通の調査船や潜水調査船の母船などが入ることが出来ない氷で覆われた海や近づくことが危険な、活動を始めたばかりの海底火山の調査など、人間はある程度離れた安全な場所にいて、必要な調査をしたいという場合に大いに活躍が期待されているものである。そのほかにも、多くの船が行き交う航路筋や荒天で時化の日が続く高緯度海域など、海面からの調査や観測が難しい海域は世界中に少なくないが、今後これらのデータがなかった海域についても観測を行うことが可能になると期待されている。開発のポイントは、これだけの航続距離を確保しつつ、画像撮影やソーナー記録などの観測を行うための電源を実現することと、水中での自分の位置を確認するための航法である。電源には、従来から使われている電池や閉鎖型のディーゼルエンジンの利用に加えて、最近は電気自動車の電源として小型で軽い燃料電池が急速に高性能化してきたことから、この燃料電池を使う動きが出ており、また、これらを併用することも考えられている。航法の本命としては、航空機や潜水艦で使われている「慣性航法」があるが、速度の遅いAUVではジャイロの性能の限界による位置推定の誤差が徐々に積み重なって大きくなっていくので、これを海中音響トランスポンダー航法や海面でのGPSなどを利用してどのように補正していくかということも研究開発課題である。

{参照 「深海に挑む」 著:堀田宏 出版:裳華房}


  人間科学大事典

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