人権問題3

出典: Jinkawiki

目次

人権とは

人間が人間らしく生きるために生来持っている権利。個人の「人格的生存」に必要不可欠な権利である。ここでいう「人格的生存」とは、簡単にいうと「自分らしく生きる」ということである。しかし、ひとくちに「自分らしく生きる」とはいっても、それには一定の条件が必要になる。たとえば、自由にものを考えたり、思っていることを自由に表現したり、自分の好きな場所に住んだり、好きな職業に就いたりすることができなければ、自分で自分の人生を切り開くことはできない。また、自由にものを考えたり、好きな職業に就いたりするためには、一定水準の教育を受ける必要があり、それ以前に最低限の衣食住が満たされていなければならない。このように、人間が自分で自分の生き方を決定し、自分らしく生きていくためには、一定の条件を整備することが不可欠だ。この「一定の条件」を保障するものが「人権」なのである。

人権の種類

まず最初に必要となるのは、思想・宗教・良心などの心のなかの自由である。なぜなら、自由にものを考えたり宗教を信仰したりできなければ、自分の人生を自分で切り開くことはできないからである。人間の行動には、主として内面的な活動(思う、信じる、考える、感じるといった活動)と、外面的な活動(話す、伝える、働く、移動する、集まるといった活動)がある。このうち、何か行動を起こすには、まず何をしたいか、あるいは何をすべきかを考えることから始まる。それゆえ、心のなかの自由は、最も基本的な人権であるといえる。 次に、自分の考えにしたがって実際に行動する自由が、人権にとって不可欠の要素となる。好きな場所に移動したり、他の人とコミュニケーションをもったり、自由に話したり表現したりすることが、このなかに含まれる。いくら心のなかが自由でも、自分の考えにしたがって実際に行動できなければ意味がない。だから、心のなかの自由と並んで、行動の自由も人権を構成する重要な要素となる。 さらに、人間が自由にものを考えたり、行動したりするためには、一定の知識や教養が必要となる。また、人間らしい生活水準が確保されていなければ、人は自由を十分に活用することができない。そこで、人権のなかには、教育を受ける権利や最低限の生活を保障してもらう権利も含まなければならない。それに加えて、国家権力から不当な仕打ちや迫害を受けないことも不可欠の人権である。国家から理由もなく身体を拘束されたり、刑罰を受けることがあっては、自由な生活はおくれないからだ。 ここに述べた自由や権利の総体が「人権」であり、日本をはじめ多くの国々では、思想の自由、信教の自由、表現の自由、職業選択の自由、教育を受ける権利、生存権といった形で、これらの人権を具体化している。

人権の特質

人権も権利の一種だが、しかし、人権には他の権利と異なる特質がいくつかある。第一に固有性という特質である。一般の権利が法特に法律によって付与されるのに対して、人権は人間が生まれながらにもっていると解されており、そのような生来的な権利を確認するために、憲法によって人権を保障したのだと理解されている。これを人権の固有性という。 第二に、一般の権利は法によって認められた人しか行使することができないが、人権はすべての人が生まれながらに有している権利であるかゆえに、誰もが等しく行使できると解されている。これを人権の普遍性という。 第三の特質は、人権の不可侵性である。一般の権利は法律である与えられるものであるため、事情が変われば、法律によってその権利を廃止することも可能だ。しかし、人権の場合は、原則として不可侵であり、法律はもちろんのこと、憲法によってもそれを奪うことはできないとされている。なぜならば、人権は憲法によって与えられたものではなく、人間が生まれながらに有している権利であり、憲法はそれを確認しているにすぎないと解されるためだ。 第四の特質として、人権の対国家性が挙げられる。一般の権利は、市民と市民の間で主張し合うが、人権は国家に対して主張するものであり、原則として、市民と市民の間で主張し合うものではないとされている。また、人権の主体となれるのは市民だけであり、国家が市民に対して人権を主張することはできない。人権は市民から国家に対して向けられた、一方通行の権利なのである。

参考引用文献

阿久沢麻理子 金子匡良(2006)「人権ってなに? Q&A」解放出版社 ハンドルネーム:ベル


  人間科学大事典

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