人身売買

出典: Jinkawiki

問題

日本に住んでいると現実とは思えないが、依然として世界では人身売買が行われている。秘密裏に行われているため正確な数字はつかめないが、NGOによると現在人身売買や拉致などでひどい状況下にいる人々は少なくとも3000万人はいると言われている。

人身売買と聞くと一般に人攫いがイメージされるが、現在の人身売買は多岐にわたっている。貧困に窮した親が自分の子を売ったり、子ども自らがお金のため売られに行くケース。また、農村の女性などに近付き「都市部でいい仕事に就ける」と言って騙す、「子どもの生活と仕事を保障する」と言って子どもを里子に出すよう親を騙すなどがある。そうして売られた人たちは、性的虐待を受けるか、強制労働をさせられるか、臓器売買に使われ命を落としてしまうことがほとんどである。また、驚くべきことに「農村での縛られた暮らしを抜け出して、都市部で暮らしたい」という理由で、不法と分かっていながら都市部に売られ、数年後に逮捕される人々も多くいるという。

こうして見ると、人身売買されているのは、主に発展途上国や農村部などの貧困地域であることがわかる。人身売買は、犯罪率や倫理観だけの問題ではなく、貧困問題の一部なのだ。日本人が人身売買に現実味を感じないのはこのためである。しかし、実は日本でも人身売買は多く行われている。日本は豊かだ。そのため、現在人身売買の受け入れ大国となっている。日本にも、劣悪な労働環境でろくな賃金ももらえず働かされている外国人がたくさんいるのだ。しかし豊かに暮らしているわたしたちはそのことを知らない。知らないことが、現状をさらに悪化させていくのだ。


解決策

いくら人身売買の犯人を捕まえても、事態は収束しない。人身売買のみならず様々な問題の根である貧困問題を解決しなければ、何も変わらないのだ。ゆえに、わたしたち日本を含め、豊かな先進国こそがこの問題について真剣に考え、解決に導かねばならない。しかし、前段落でも示したように、豊かに暮らしているわれわれはあまりに現状を知らない。人身売買が行われていることすら認知していない人が多いのだから、貧困問題が関わっていることを知っている人はわずかだろう。それならば、つらい現実であっても、われわれが被害者でなくとも、貧困を根にした人身売買問題を積極的にとりあげて、人の目に触れるようにしなくてはならない。そうして現状を知った人々が自分の考えを発信し、広げていく。そうすることで問題意識として根付き、皆が考えるようになるのではないだろうか。また、具体的にできる行動としては、NGOなどの国際団体を通して寄付をしたり、より直接的なところを挙げるなら被害者を保護している団体やシェルターで働くなど、わたしたちにもできることは少なからずある。少しでも多くの人がこの問題を知り、何かしらの行動に移せば、解決に向かっていけるのではないかと考える。


参考

「世界中から人身売買がなくならないのはなぜ?」 小島優・原由利子/著 合同出版株式会社

NGO セーブ・ザ・スレーブ http://www.save-the-slave.com/dorei.html


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