偏見

出典: Jinkawiki

偏見(prejudice)とは、ネガティブな思考や感情のみを共にして形成された場合のステレオタイプの一種類のことである。一般的に偏見とステレオタイプは同義語のようにつかわれているが、ステレオタイプは、外界を把握するためにまとまった情報を少ない労力と時間でとらえられるようにできる人間に標準装備されている認知システムだけのことである。


偏見の事例

人間誰しもある事物に対して偏った考えをもち、判断する傾向がある。それは、その事物の見かけなどに関する断片的な知識や、あるいは文化的・宗教的・社会的要素に基づく価値観などで判断し、結果的にその判断したものにもとづいて偏った否定的思考が形成される。そこには十分な客観的根拠が存在しないことがほとんどである。

例)負け犬と既婚者(30歳以上の仕事中心で未婚の女性は不幸せであるという偏見)

  ガイジンと自国民(異国の人々を何の根拠もなく否定する)

  黒人(怠け者で肉欲的で程度が低いという否定的な感情を伴った偏見)

  いじめの対象(何らかの否定的な要素・感情が伴った偏見)

  出所した罪人(過去の行動を引きずらされて、何もかもが悪い評価へ)

  などなど。

また、多くの場合、人が何らかの集団に属しているために、集団レベルで否定的要素を見出したり、否定的な感情をもったりして敵視して蔑視して憎悪の念を抱く。また、そのことが差別、排斥、暴力などの攻撃行動に導かれることが多い。たとえそこに十分な客観的根拠が存在しないと分かっていても起きてしまう。

例)宗教戦争(キリスト教 vs. イスラム教など)

  白人と黒人の闘争

  上下関係によって発生した偏見による差別

  人種差別主義(Racism)による差別・迫害

  日本の身分制度(特にえた・ひにんと言われた人々たちの処遇)

  などなど。

偏見の修正の可能性

ステレオタイプのしくみ上、一度形成されたステレオタイプは簡単に消したり、修正したりすることは難しい。偏見はステレオタイプの1つであるため同様である。これには確証バイアス(自分の信念に肯定的な情報のみを集めようとする傾向)が働いていると考えられる。ひとたび偏見が形成されると、その事物に対してたとえ客観的に正しい情報を与えられたとしても、選択的にゆがめて受け取られてしまい、偏見は修正されず、かえってその偏見が強められてしまう傾向がある(サブタイプ化)。また、偏見を修正するためには、実際に事物と直接接触する経験を持たせる方法も考えられているが、その人間が持つ偏見が強固であればあるほど、修正するのに多くの時間を要すといわれているのにくわえ、アプローチ方法によっては悪い効果をもたらす危険性があるといわれている。


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