健康心理カウンセリング
出典: Jinkawiki
意義
健康心理学は、「健康の建設的な見通しを立てようとしている人、健康に問題を感じている人」に適切な助言を与えるための研究を行っている学問である。そして健康心理学専門家はその具体的な助言、助行動を進めている人たちである。
臨床心理学者は、第二次大戦後、心の病気と取り組んで成果をあげてきているが、健康心理学専門家は、心、からだ、社会(環境)の3つの条件から健康と病気を理解しようとしている。
役割
健康心理カウンセリングは、単なる一般の「カウンセリング」(相談・助言)そのものでもないし、心理療法そのものでもない。といって全く別種の技法でもない。問題の種類や事情によっては一般のカウンセリングの技法が用いられることもあるし、心理療法が導入されることもある。特に一般のカウンセリングの技法や助言・指導の態度は、基底として健康心理カウンセリングと共通なものがある。
①クライエントが健康行動改善のためのプログラムを作成するのを援助や指導し、時には介入する。
②カウンセリングの諸方法による援助。たとえば、来談者中心カウンセリングや意思決定のための相談、習慣行動の修正に関する相談などの行動カウンセリング。
③肥満・痛みなどの身体的不調や神経症的変調などの健康問題に関する不安・苦悩に対する心理療法や行動療法による解消などは健康心理カウンセリングの守備範囲といえよう(間宮,1997)。
健康心理カウンセリングにおいて用いられる方法
・認知行動療法 1960年代に入ると、それまでサイコセラピーやカウンセリングの領域で主流であった精神分析と来談者中心療法に対する第3の治療法として、行動療法が開発された。しかし、行動療法は実験から導かれる科学的論理的立場を重視するあまり、日常の人間行動に大いに影響を及ぼしている認知を棚上げにする傾向があった。認知行動療法は、人間の行動における認知、態度、信念などの役割を再認識し、それらに働きかけることによって行動を変化させようとするもので、それまでの行動療法を一歩進めたものである。
・交流分析 交流分析は、精神分析の流れをくんでいる。人間の者の見方・考え方、人間関係のもち方や行動パターンは、「批判的な親」「保護的な親」「おとな」「自由気ままな子ども」「従順な子ども」と名付けられた5つの心の状態のあり方によって規定されていると考え、そのいずれの心の状態が優勢か、なぜ優勢になっているのかを分析したり、5つの心の状態の全体像をプロフィール(エゴグラム)によって理解し、その人特有の認知傾向、行動傾向、人間関係のもち方などをよい方向に変えるために役立てようとするものである。
・自律訓練法 自律訓練法は、ストレスによる緊張や不安を低下させるセルフコントロール法として、健康心理カウンセリングで比較的よく用いられる基本的な方法である。具体的には、定式化されている自己教示的語句を心の中で反復暗誦しながら段階的に心身のリラックスを得ることによって、筋緊張の低下や皮膚温の上昇などの生理的変化を起こし、自律神経系を調整し、心の安定を得るための方法である。
・理性感情行動療法 理性感情行動療法は、クライエントの心身の健康に悪影響を与えている物の見方・考え方、感じ方、行動のとり方を見い出し、それらの認知、感情、行動なとが健康な方向へと変化していくように援助するカウンセリング技法である。
・マイクロカウンセリング マイクロカウンセリングは交流分析とか認知行動療法といった理論的背景が異なるさまざまなカウンセリングの過程に共通して含まれている「マイクロ技法」たとえばクライエントとの関わり方、観察の仕方、クライエントの感情面への関わり方、助言の仕方、テーマの取り上げ方など、カウンセリング過程において必要な技法の小単位を、実践的に学べるように工夫されたカウンセラー養成法である。
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