健康日本21
出典: Jinkawiki
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健康日本21(けんこうにほん21)
平成12年(2001)から厚生省により定められた「21世紀における国民健康づくり」運動 これらは平成22年(2010)を目標にしている。
基本理念
①健康を増進し、発病を予防する一次予防に重点を移す
②個々の自由な意思決定に基づく主体的な取り組みを支援する環境整備を行う
③健康づくりの具体的な数値目標を決定することにより、健康づくり対策の評価を可能とする
④保険者、企業、医療機関、マスメディア、非営利団体など広範な健康関連団体等に参加協力を求め社会関係を構築する
推進方策
①多様な経路による普及啓発
②推進体制の整備、地方計画の支援
③各種保健事業の効果的・一体的事業実施の推進
④科学的根拠に基づいた事業推進
国家政策である健康日本21を受けて、平成13年(2001)にはすべての都道府県において、地方計画が策定された。
9分野
①栄養・食生活
②身体活動・運動
③休養・心の健康
④タバコ
⑤アルコール
⑥歯の健康
⑦糖尿病
⑧循環器病
⑨がん
などの大きな問題となっている9つの生活習慣、生活習慣病に対して、70項目の到達目標値が示された。
①栄養・食生活
食行動を支える知識・態度・行動をモデルとして
①適正体重を認識し、体重コントロールをする者の割合増加
②朝食欠食率の低下
③質、量ともにきちんと食事をする者の割合増加
④外食や食品購入時に栄養成分表示をさんこうにする者の割合増加
⑤自分の適正体重を維持するために食事量を理解している者の割合増加
⑥自分の食生活に問題があると思うも者のうち、改善意欲がある者の割合増加
をあげ、環境レベルでは
①職域等における給食施設、レストラン、食品売り場においてヘルシーメニュの提供比率を上げ、その利用者を増加
②地域、職域で健康や栄養に関する学習の場を提供する機会を増やし、それに参加する者(特に若年層)の増加
③地域、職域で健康や栄養に関する学習や活動を進める自主グループの増加
を挙げている。
また、「40~60代女性における肥満者の割合を20%以下にすること」「成人の一日の野菜摂取量を350グラム以上にすること」が挙げられている。
②身体活動・運動
成人の目標として、
①日ごろから日常生活の中で健康の維持・増進のために意識的に体を動かすなどの運動をしている人の増加
②日常生活における歩数の増加
③1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上持続している運動習慣者の増加
が挙げられている。また、高齢者の目標は、
①外出に対して、積極的な態度をもつ者の増加
②何らかの地域活動を実施している者の増加
③日常生活の歩数の増加
をあげている。
③休養・心の健康
情緒的健康(自分の感情に気づいて表現できるか)
知的健康(状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができるか)
社会的健康(他人や社会と建設的でよい関係を築けるかどうか)
人間的健康(人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択する)
など身体的健康を包括する広い概念が挙げられている。
④タバコ
喫煙は、肺がんをはじめとする脳血管疾患や歯周疾患、早産など多くの危険因子である。 そのため、
①喫煙が及ぼす健康影響についての知識の普及
②未成年の喫煙をなくす
③公共の場や職場での分煙の徹底および、効果の高い分煙についての知識の普及
④喫煙、節煙を希望する者に対する禁煙支援プログラムを市町村で受けられる
という目標を立てている。
その結果、近年では、たばこ税の増額や公共の場での徹底した分煙、条例などによる規制ができた。
⑤アルコール
①1日に平均純アルコール約60gを超え多量に摂取する人の減少
②未成年の飲酒をなくす
③節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコール20gであることの普及
⑥歯の健康
①幼児期のう蝕予防
②学齢期のう蝕予防
③成人期の歯周病予防
④歯の喪失防止
の4つ目標において定められた。
⑦糖尿病
生活習慣と社会環境の変化に伴って急速に増加し、放置すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こす。
末期には失明したり透析治療が必要となり、糖尿病は脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症・進展を促進することも知られている。
これらの合併症は患者のQOLを著しく低下させるのみでなく、医療経済的にも大きな負担を社会に強いており、今後も社会の高齢化にしたがって増大するものと
考えられる。 糖尿病の病型は、(1) 1型糖尿病、(2) 2型糖尿病、(3) その他、(4) 妊娠糖尿病に大別できる。
糖尿病の発症要因としては、遺伝的要因と環境要因が重要であるが、特に2型では生活習慣が環境因子として重要である。
我が国の糖尿病の大部分をしめるものは2型糖尿病であり、本文中では特に断らない限りこの病型の糖尿病を指している。
⑧循環器病
循環器病は主要死亡原因の1つであり、循環器病の一次予防の観点から、生活習慣の改善及び循環器病の早期発見について設定している。
あわせて、生活習慣の改善が循環器病による死亡率等の減少に及ぼす影響について推計する。
⑨がん
我が国最大の死亡原因である、がんは総死亡の約3割を占めている。
目標は、がんの一次予防の推進を図る観点から、生活習慣の改善、がんの検診の受診者等について設定している。
7項目中そのうちの5項目は栄養食生活とアルコールと同じである。
参考文献
日本健康心理学会編 「健康教育概論」実務教育出版