児童労働
出典: Jinkawiki
グローバル経済の影響でより深刻になる世界の児童労働。原因は貧困と無教育。1日1ドル未満で生活する人の割合が高い国ほど、児童労働が深刻化する傾向に。大半の場合、大人より安い賃金で働かされる上、学校にも通わせてもらえない。教育の機会を失うことが、さらなる貧困を招き、子供が働かざるを得ない環境が続く。
〇児童労働の実例
●カカオプランテーション(ガーナ)
世界のカカオ供給量の70%は、ガーナはじめ西アフリカ諸国で生産されている。ガーナにおいては主力産業であり、就労児童の70%以上がカカオ生産を中心とした農業に携わる。近隣のマリやブルキナファソなど、さらに貧しい国から連れてこられた子供が携わっているとの調査結果もある。
ガーナの成人識字率 65.0%
●商業綿花栽培(インド)
綿は世界の織物品の約半数を占め、インドでは主要産業である。ある地方の農場を調査した結果によると、労働力の88%が15歳以下の子供で、学校は中退したか、就学すらしていないという。綿花栽培には、インドの殺虫剤総消費量の55%が使用されており、影響が懸念されている。
インドの成人識字率 66.0%
●サトウキビの収穫(ブラジル)
サトウキビの生産量は需要の増加により、1970年に7300万㌧だったものが、2002年には1億3600万㌧に急増している。ブラジルでは、労働に従事する子供の90%が正式に登録した労働者ではなく、ゴム製のサンダルや裸足のような格好で働かされている。大人に比べて賃金も低い。
ブラジルの成人識字率 90.5%
〇「無条件に最悪な形態の児童労働」とは・・・
「無条件に最悪な形態の児童労働」とは、国際労働機関(ILO)の182号条約に掲げられている、最もおぞましいとされる労働で、債務労働、武力紛争への従事、売買春や性産業への従事である。にわかには信じがたいが、推定で960万人もの子供たちが強制的に従事させられている。表面化しているのはごく稀で、現代で最も闇に閉ざされている問題である。
○国際労働機関(ILO)・・・国連の専門機関。労働条件の改善と労働者の地位の向上による社会正義の実現を目指
している。本部所在地ジュネーブ。
●債務労働
親が多額の債務を背負ったことにより、地主や事業主、金貸し業者などの支配下で働かされること。数十年に及ぶ契約を結ばされることもあり、その実態は奴隷とほとんどかわらないほど。
●子供兵士
世界の36の武力紛争地域で、30万人もの子供が労働を強いられている。前線兵士として戦闘に従事させられるほか、性的な目的や強制結婚のために連れてこられた女子も含まれる。
●売買春
子どもたちは、人身売買によって連れてこられる場合が多い。農村から都会、観光リゾートと需要の多いところへ移動させられる。従事するのは女子が大半だが、男子が多数を占める国もある。
参考文献
・地理用語集(山川出版社)
・知れば知るほど見えてくる!!なるほど知図帳 世界 2009 (昭文社)