創造説
出典: Jinkawiki
創造説
神による天地創造は「神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。「光あれ。」」という一説から始まり、6日間で昼と夜、空と海、地面と植物、太陽と月とその他の星、鳥と魚、陸生物と人間がつくられ、天地万物が完成したとされている。創造説とは、この旧約聖書どおりの記述を地球の歴史としてとらえる考えである。進化論が広く浸透してきた現在においても、創造説論者の一部は聖書の創造説を個人の内面的な信仰にとどめることなく実社会で実現しようとしており、それによりアメリカ各地を中心に論争を引き起こしている。
◆創造説に関わる裁判
・スコープス裁判
スコープス裁判とは、反進化論法による聖書の天地創造に反する理論を教えることが禁じられていたアメリカの州において、公立高校の生物学教師が生物学の授業で人の進化に触れ、州法違反であるとして逮捕され裁判にかけられたというものである。被告を支えたアメリカ公民権連合は、反進化論法が自由の権利の侵害であると考えたが、100ドルの罰金刑という有罪判決に終わった。しかし、検事側の主張が時代錯誤であるとの声も聞かれ、アメリカの宗教感覚の変化を示す結果となった。
・授業時間均等化法
神による創造やノアの洪水を科学的に証明できるとした創造科学の考えを生物進化論と同等の科学理論として公立学校のカリキュラムに含めるという授業均等化法が成立した。しかし、この法は合衆国憲法修正条項第1条「国教樹立の禁止」に抵触するとして違憲判決を下し、廃止されるに至った。つまり、創造科学が宗教的な目的を有し、特定の宗教を促進し過度にかかわらせると考えられたのだ。「国家と教会の分離」、「表現の自由」、「科学教育の擁護」のかざした進化論側が「モラル低下の防止」、「少数派の権利」、「フェアプレー」を主張する創造論者側を圧倒した結果となったとみられたが、この判決に対し、その是非を問う訴訟が各地で起こることとなった。
参考文献
「進化論を拒む人々」 1998 鵜浦裕 勁草書房
「百科事典マイペディア」 日立システムアンドサービス