功利主義
出典: Jinkawiki
功利主義 イギリス経験論の伝統を継ぎながら個人の幸福の追求と社会全体の幸福との調和をはかろうとするもの。
ベンサム
幸福とは苦痛を避け、快楽を味わえる状態をいう。ベンサムは人間は快楽を求め、苦痛を避けようとする本性をもつとした。
最大多数の最大幸福
そこでベンサムは、社会は個人の集合体と考え、社会の幸福は個人の幸福の総和であるとした。ゆえに、個々人の最大量の幸福は同時に社会の最大量の幸福になるとして、最大多数の最大幸福が、道徳の原理になるとした。
快楽計算
道徳の原理を実現するために、あらかじめ快苦を科学的に計算しなくてはならない。快楽計算の7つの基準は、強度(強さ)、持続性(時間の長さ)、確実性(確かさ、はっきりと経験できる)、遠近性(快楽を味わえる時期の近さ、遠さ)、多産性(豊かさ、ある快楽がつぎつぎと他の快楽をもたらす)、純粋性(苦痛を伴わない)、範囲(関係する人の多さ)である。
快楽を量でとらえることは、個人を平等にひとりでとらえることであり、民主主義の多数決の原理を示したことになる。
制裁論
個人が自分の快楽(幸福)だけを追求し、社会全体を考えないとき、社会全体のことを考えさせるように制裁を加える必要がある。制裁とは苦痛をもたらすもの。 自然的制裁(不摂生で病気になるなど)、法律的制裁(火事の場合の殺人罪)、道徳的制裁(火事のとき、日頃から心よく思われていなくて手伝ってもらえないなど)、宗教的制裁(火事で怪我をしたのは神からのたたりであると本人が思うことなど)
法律的制裁を重視した。外からのものである。
ミル
ミルは、快楽には量的な違いがあるとし、感覚的な快楽(低級なもの)と精神的・道徳的な快楽(高級なもの)とに分け、高級なものが価値のあるものにした。
ベンサムの量的功利主義・外的制裁に修正を加え、質的功利主義を展開した。 「満足した豚であるよりかは、不満足な人間であるほうがよく、満足した愚か者であるよりかは、不満足なソクラテスであるほうがよい」
内的制裁
良心を重んじた。良心とは、社会的感情である共感にもとづく、人間としてなすべきことをしなかったときに感じる苦痛である。 ベンサムのあげた4つの制裁のほかに、善悪の内的制裁を加え、行為の内面的動機を苦痛の源泉とした。
参考文献
倫理用語集 山川出版社
新総合倫理資料集 東京書籍