医療保険
出典: Jinkawiki
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医療保険とは
将来の疾病に対する費用を軽減するために設けられた保険。すべての国民が加入する保険で、これにより疾病時の治療費や入院費が軽減される。国民健康保険・健康保険・各種共済組合などがある。労働者の就業形態が、公務員か民間企業か個人経営かにより、加入する保険が異なる。
日本の医療保険制度
医療保険制度には、大きく分けて被用者保険と国民健康保険がある。
被用者保険
会社員が加入する健康保険、公務員が加入する共済組合などがある。被用者保険では本人のほかに、一定の家族も被扶養者として加入できる。
国民健康保険
被用者保険に加入していない人すべてを対象としており、市町村が運営している。 日本では、国民は原則としていずれかの医療保険に加入する国民皆保険となっている。
保険の仕組み
医療保険に加入すると、毎月所定の保険料を支払い、医療機関にかかるときは被保険者証を提示し、かかった医療費の2割または3割を自己負担し、残りは保険から給付される。ただし70歳以上(寝たきりの者などについては65歳以上)になると、自己負担は原則1割になる。また1ヵ月の自己負担額が一定の額以上になると、超過額は別途保険から給付される。
高齢者医療制度
高齢化に伴う医療費の増大が見込まれる中で、高齢者と若年世代の負担の明確化等を図る観点から、75歳以上の高齢者等を対象とした後期高齢者医療制度を平成20年4月から施行された。併せて、65~74歳の高齢者の偏在による保険者間の負担の不均衡を調整するため、保険者間の財政調整の仕組みが導入された。
<老人医療費の特性>
老人(75歳以上の者)の一人当たり医療費(老人保健制度に係る医療費)は87.0万円となっており、若人(老人以外の者)の一人当たり医療費18.1万円の4.8倍となっている。
医療保険制度の課題
制度間における保険料などの格差が問題となっている。複雑な制度を利用して、制度間格差をなくしていくことが課題である。また、高齢化に伴う国民医療費の増加への対応も迫られている。2002年の改正では、被保険者、及びその家族の医療負担費が3割に引き上げられた。また、高齢者の負担は定率1割(一定額以上の所得がある人は2割)となった。
日本の医療費は、高齢化や医療の高度化などにより、老人医療費を中心に増加が続いている。現在、国民医療費は約30兆円、国民所得の8%程度に上る。このうち、老人医療費は全体の約3分の1で、その割合も年々上昇している。一方、ここ数年は就業者数や賃金が減少傾向にあることから、所得に連動して決まる医療保険の保険料収入は伸び悩んでおり、医療保険の財政は厳しい状況が続いている。
医療保険の破綻の危機
これまでにも、医療保険制度を安定した制度とするため、医療費の患者負担引き上げ、診察報酬の引き上げ幅の抑制による医療費の抑制などの措置が行われてきた。これらの措置で当面の危機的な状況は回避できたものの、今後、保険料収入の大幅な増加が見込めない中で、高齢化の一層の進展などを背景に、医療費が増大し続けることは確実である。このまま医療費が伸び続ければ、医療保険財政は破綻しかねない。このため、医療費の適正化を図るとともに、老人医療費の合理化・効率化と合わせて、財源や患者負担の在り方を見直すなど、制度全般にわたって抜本的な改革に向けて様々な検討が進められている。
参考文献
現代社会教科書研究会編『現代社会用語集』山川出版社 2004
浜島書店編集部編著『最新図説 現社』浜島書店 2006
第一勧銀総合研究所編著『経済用語の基礎知識』ダイヤモンド社 2002
『厚生労働省:医療保険:我が国の医療保険制度について』http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken01/01.html