南北問題2
出典: Jinkawiki
「南北問題」とは,地球の北側の国々と南側の国々との間の,様々な格差に関する問題のことである。そして、国連貿易開発会議(UNCTAD)を初め,ガット,FAO,OECD,エカフェ,東南アジア開発閣僚会議等の,全世界的あるいは地域的な場においてますます注目されるに至っている。 経済的な格差の面から見ると,ヨーロッパ・アメリカ合衆国・カナダ・日本などの先進国は北の方に位置し,アジア(主に西・東南アジア)やアフリカ,ラテンアメリカなどの発展途上国は南に位置している。
発展途上国の貧困の原因はいくつか考えられる。(1)「人口爆発」 (2)貧困国内部での民族紛争や内戦(3)資源の偏在(4)工業化の遅れや経済力・生産力の低さ,などが挙げられる。ここではまず,(4)に関連して,「経済格差」の原因について考えてみる。
発展途上国の多くが独立前は欧米列強の植民地であり,植民地時代に形成されたモノカルチャー(=単一栽培)経済がその後も国の発展を妨げている場合がある。多くの発展途上国が,第一次産業(=農林水産業)に依存する自国の体質を改め,産業構造や貿易構造の改革をし,経済的な独立や離陸をすることを目標としている。(B)東アジアや東南アジアなどにおいて急速な工業化と工業製品の輸出により高度経済成長に成功したNIES(=新興工業経済地域)などの例もある。しかし,アフリカを中心として,いまだに多くの発展途上国が存在している。
(1)の「人口爆発」も,南北問題のなかで重要な問題のうちの一つである。先進国においては,少産少死で人口が安定しているのに対し,発展途上国では多産少死で人口爆発の状態にある。気候的にも恵まれない発展途上国の場合,慢性的な食糧不足や飢餓に悩まされ続けている国が多い。一方,先進国にとっても,近い将来,自分たちにも関係してくる問題である。このまま発展途上国の人口が増えつづけると,世界規模での食料不足・食糧危機の可能性があるからである。
1989年の段階で,先進20か国と発展途上国のGNP(国民総生産)の格差は,約24倍ともいわれていた。その後は,途上国の間でさえも,順調に経済成長している国とそうではない国との間で経済格差が拡大しつづけている。2002年現在では世界人口は既に60億人を超えているが,90年代後半の段階ではおよそ55億人程度であった。その55億人のうちの78%を占める途上国のGNPは世界全体のわずか16%程度で,その中に13億人の貧困層が含まれる。これらのような巨大な格差をなくし,南北問題を解決するために,発展途上国の自助努力,地域協力,および国際協力の三者が一体となって対処しなければならないという基本的な考え方が次第に確立されつつあり、国連の関連機関をはじめ,多くの国々が問題解消のために努力している。
参考文献:http://www.aiueo.ws/EJUAIS/koumin/q4.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1969/s43-13-1-1-13.htm
投稿者 S.Y