原子力発電2
出典: Jinkawiki
原子力発電とは原子核反応時に出るエネルギーを利用した発電のことである。主な原子力発電は地上の核分裂を利用した商業用の原子力発電である。
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なぜ原子力発電なのか
他の電力の供給手段として、火力発電と水力発電が考えられるが、両者ともエネルギー源としては問題がある。火力発電は石油をつかうが、日本は石油資源に乏しく自給できない。国際紛争など、情勢の変換にも大きく影響されがちでもある。しかも、世界的にみても石油はあと数十年で枯渇してしまう。将来のためには火力発電に変わる発電方法が必要となる。水力発電はダムを建設しなければならない。ダムの建設は川をせきとめ、大規模に自然を破壊する。環境問題が叫ばれる中では困難であろう。また莫大な時間と費用も必要となってくる。したがって、この2つに代わる新たな電力発電として、原子力発電が有力なのである。
メリット
・資源を半永久的に利用することができる。
・石油燃焼やダム建設に比べ、自然環境を破壊しない。
デメリット
・事故があった場合、健康、環境、経済に大きな悪影響を及ぼし危険である。
・放射線を人体に浴びると、細胞内のDNAが破壊され、甲状腺がんや白血病の発病率が増加する。
・放射線は長期間にわたって残留し、プウルトニウム239の半減期間は24,000年である。
・いったんもれると、密閉するしか除去の技術がない。
・汚染された土地には長期間にわたり、人間が近づけなくなる可能性が高く、経済的損失も大きい。
・事故が起きない場合でも、原子力発電所の稼動中に発生する放射線が作業している者の健康に有害な可能性がある。
チェルノブイリ原子力発電所事故
1986年4月26日1時23分(モスクワ時間)にソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉が起こした原子力事故。操作上のミスから4号炉は炉心溶融(メルトダウン)ののち爆発し、放射性降下物がウクライナ・ベラルーシ・ロシアなどを汚染した。事故後のソ連政府の対応の遅れなどが重なり被害が甚大化・広範化し、史上最悪の原子力事故となった。 修復工事に当たった従業員、消防士など、約30人が死亡し、事故の処理にあたった予備兵・軍人、トンネルの掘削を行った炭鉱労働者に多数の死者が確認されている。動員された兵士の中には危険性を知らず、放射性物質を素手で処理してしまった者もいた。長期的な死者数は数百人とも数十万人とも言われるが、事故の放射線被曝とガンや白血病との因果関係を直接的に証明する手段はなく、科学的根拠のある数字としては議論の余地がある。事故後、この地で小児甲状腺癌などの放射線由来と考えられる病気が急増しているという調査結果もある。1986年8月のウィーンでのIAEA非公開会議で、ソ連側の事故処理責任者ヴァシリー・レガソフは、広島原爆での結果から、4万人が癌で死亡するという推計を発表した。しかし、会議では4,000人と結論され、IAEAの公式見解となっており、2005年にも同じ数字が公式発表された。 周辺30㎞は放射能に汚染され、人が住めずゴーストタウン化した。また周辺はウクライナの穀倉地帯の中心であるため、農産物も汚染された。生物には奇形が発生した。さらに漏れた放射能が風のって北欧まで達し、トナカイ2万頭が被爆し、これらのトナカイは射殺され、廃棄処分となった。
日本でも、1999年9月30日東海村のJCOウラン加工工場で、作業手順のミスにより予定外の核分裂が起こる原子力事故があった。この事件で、3人が被爆し、2人が亡くなっている。
原子力発電に代わるもの
以上見てきたように、原子力発電は極めて危険なものである。火力発電でもなく水力発電でもなく、原子力発電でもない発電方法はないだろうか。
・風力発電
風の力(風力)によって発電する方法である。風車で発電機を回して発電する。
ドイツでは1998年末までに300万キロワット近い風力発電が設置され、世界最大の風雨大国となっている。そのほとんどは1990年代に入って、自然エネルギーからの電気を電力会社に買い取らせることを義務づけた法律を制定した後に設置されたものだ。……一方ドイツの法律制定から約一年遅れて電力会社による余剰電力の買取制度を始めた日本では、風力発電の規模がようやく2万キロワットを超えたところだ。これではドイツの百分の一に満たない。日本に発電に適した風がないわけでなく、この落差は明らかに日本の政策の失敗を示している。(朝日新聞、1999.4.9「論壇」)
風力発電は日本ではあまり普及されていない。しかし、ドイツでは日本の百倍以上の風力発電が行われている。日本に比べ発電に適している風が百倍あるわけではないから、十分風力発電はできる。
・地熱発電(ちねつはつでん、じねつはつでん、Geothermal power)
地熱(主に火山活動による)を用いて行う発電のことである。再生可能エネルギーの一種であり、枯渇性エネルギーの価格高騰や地球温暖化の対策手法としても利用拡大が図られつつある。
参考文献
・あとみん 原子力・エネルギー教育支援サイト[1]
・新資料・現社(東学)
・吉岡友治 「吉岡のなるほど小論文講義10」(桐原書店)