原子力発電3
出典: Jinkawiki
1953年、アイゼンハワー米大統領が国連総会で「平和のための原子力」を提唱したのを契機に考えられた。幅広い分野で考えられた原子力の平和利用の中で最も大きな効果をもたらした。
発電の仕組みは、石油や石炭を原子炉内で燃やし、その核分裂連鎖反応によって発生させた熱を取り出し、これによって水を沸騰させて蒸気をとるというもの。 2008年1月1日時点で、世界に435基の原子力発電所がある。
原子力発電の安全性
原子力は世界の発電量の2割弱をまかなっている。日本は、石油や石炭といった化石燃料に乏しいため、発電量の3割近くを原子力に頼っており、日本の電力供給を考える上でも原子力はなくてはならないものとなっている。また、化石燃料の埋蔵量には限りがあり、石油などはあと数十年で枯渇するといわれる中、原子力に燃料の再生利用が可能で、さらに近年、地球規模の環境問題が深刻化している。現在世界の電力の6割をまかなっている火力発電は地球温暖化現象と酸性雨問題の大きなストレスを与えている。それに比べると原子力発電は環境にとってクリーンなエネルギー源といえる。しかし、原子力発電には安全性の問題もある。事故が起きてしまうと、放射能漏れなどによる被害は甚大となる。また、事故だけでなく、放射性廃棄物の取り扱いなどについても極めて慎重を要する。
史上最大の原発事故
1986年4月26日、旧ソビエト連邦のウクライナ共和国キエフ市の北にあったチェルノブイリ原子力発電所4号機で事故が起こった。事故当時、発電所では特殊な実験が行われていた。この時、原子炉運転員の数重にもわたる規制違反があったことに加えて原子炉の特殊性が被害を拡大させた要因である。この事故では、原子炉の出力が定格の約100倍のも達することで燃料が溶融した。溶融した何両が冷却水と接することで水蒸気爆発を起こし、大量の放射性物質を放出するに至る。放射性物質はヨーロッパ諸国にまで達し、8万2000平方メートルという広大な範囲で放射能汚染を引き起こし、一時はそこで生産された農・畜産物の輸出がストップした。一方、原子炉ではさらに、高温となった黒鉛が飛散したことで火災が発生する。この火災の消火作業で放射線に被曝した計31名もの人が犠牲になった。 ヘリコプターによって鉛や土砂などの投下を行い、放射線を取り除く作業が行われた後、原子炉部分は2000年12月15日、完全に封鎖された。この日、ウクライナのクチマ大統領は「チェルノブイリ原子力発電所の事故は20世紀最後の悪夢だった」と演説した。
参考文献 ・図解雑学原子力 竹田敏一 ナツメ社 ・原子力のいまがキチッとわかる本 吉田八束 オーエス出版社