原子力発電10
出典: Jinkawiki
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原子力発電とは
原子力発電は、世界中で約50年前から行われている発電方式である。その特徴は、発電段階においてCO2を全く排出せずに大量の電力を安定して供給することができること、また、使い終わった燃料を再処理することにより再利用できることから、エネルギー資源小国・日本における発電方法として重要視されている。基本原理としては、ウランを核分裂させて熱エネルギーを得て、水を沸かし蒸気の力で蒸気タービンを回転させて電気を起こす。
原子力発電のメリット・デメリット
・メリット 原子力発電の燃料となるウランは、石油に比べて政情の安定した国々に埋蔵されていることから、資源の安定確保が可能である。また、使い終わった燃料は再処理することで再び燃料として使用する事ができ、準国産のエネルギー資源になる。 核分裂のエネルギーを利用する原子力発電は、発電の過程でCO2を排出しない。発電時にCO2を排出しない原子力発電は、温暖化対策の一つとして期待されている。 電気料金の安定にも役立ち、燃料費の割合が他の発電方法に比べて低く、燃料費の高騰による発電コストの上昇を避けることができる。
・デメリット 放射性物質がでるので、専用の処理施設が必要になる。また、否応なく人体に有害な放射性廃棄物が発生する。 想定外のアクシデントなどがきっかけで放射能(放射線)が漏えいした場合、周囲に対する被害は甚大となる。福島第一原子力発電所での事故のように安全対策が必ずしもうまく働くとはかぎらない。
東日本大震災における福島第一原子力発電所について
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震と地震に伴って発生した津波によって、東京電力(株)福島第一原子力発電所の1~4号機は全ての電源を失った。そのため、電力が得られない状態と地震発生時に運転中だった原子炉では燃料を冷やすことができない状態が長時間にわたって続き、そして、2号機では原子炉圧力容器が破損、1、3号機では原子炉で発生した水素の爆発により建屋が大きく破損、定期検査中で運転していなかった4号機では3号機から流入した水素により建屋が破損し、大量の放射性物質が環境中に放出された。その影響により、多くの周辺住民が避難を余儀なくされる事態となった。自分たちの家に帰れず、職を失ってしまったり、学校に行けなくなってしまったり、と大変悲しい現実となった。また、除染の問題や放射能によるがれきの処理の問題などがある。 高濃度の放射性物質が海水中に流出し、流出した放射性物質は海流に乗って福島県沖から千葉県沖にかけて広まり、長い時間をかけて海底に運ばれていく。この海域ではさまざまな海産物に出荷制限が出されるなどの影響を受けた。 食品中に含まれる放射性セシウムが基準値を超えてしまったため、食品の出荷に制限が与えられ、農業などにも多大な被害があった。
参考文献
電気事業連合会 www.fepc.or.jp/enterprise/hatsuden/nuclear/index.html
日本原子力文化振興財団 www.jaero.or.jp/data/02topic/fukushima/