原子力発電11
出典: Jinkawiki
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原子力発電
原子力発電は、世界中で約50年前から行われている発電方式。その特徴は、発電段階においてCO2を全く排出せずに大量の電力を安定して供給することができること、また、使い終わった燃料を再処理することにより再利用できりことから、エネルギー資源小国、日本における発電方法として重要視されている。反面、放射能の慎重な管理が必要。
原子力発電の基本原理
原子力発電は、火力発電のボイラーを原子炉に置き換えたもの。火力発電は化石燃料を燃やして熱エネルギーを得て、これを使って水を沸かし、蒸気の力で蒸気タービンを回転させて電気を起こす。 これに対して原子力発電はラウンを核分裂させて熱エネルギーを得て、水を沸かし蒸気の力で蒸気タービンを回転させて電気を起こす。
原子の構造と核分裂
物質はすべて、原子核とそれを取りまく電子によって成り立っている。この原子核が2つ以上の原子核に分裂することを「核分裂」とよんでいる。
原子の構造
天然に存在する物質はすべて元素(原子)からできており、天然にある元素は92種類。原子核は陽子と中性子から構成されており、周りの原子の数と陽子の数は同じ。原子には陽子の数に合わせて原子番号が付けられつぃる。例えば、水素の原子核は陽子が1個しかないので原子番号は1。普通の水素原子の原子核は陽子1個で構成されているが、このほかに陽子1個と中性子1個で構成されている水素もある。これを重水素という。 ウランは原子核に92こ個の陽子を持っているので原子番号は92。しかし、中性子を142個もつものと、143、146個もつものが天然に存在する。143個もつウランは、「ウラン235」、146個もつウランが「ウラン238」。このように陽子が同じで、中性子の数が異なるものを同位元素(アイソトープ)という。
核分裂のしくみ
核分裂は様々な原子核で起こるが、特に核分裂が起こりやすい物質として「ウラン」がある。このウランにも核分裂を起こしやすい「ウラン235」と核分裂を起こしにくい「ウラン238」がある。自然界に多いのは核分裂を起こしにくいウラン238。天然ウランには、核分裂するウラン235は0.7%しか含まれていない。原子力発電では、ウラン235の含有量を3~5%に高めたものを燃料として使う。 ウラン235の原子核に中性子をあてると、ウラン原子は2つの原子核に分かれる。この時大量の熱が発生するため、これを発電用熱源として利用し、水を蒸気に変えて蒸気タービンを回転させて発電機で電力を起こす。 ウラン235に中性子を当てると、核分裂が起こると同時に、新たに2~3個の中性子が発生する。 こうした反応がゆっくりと連続的に行われるように工夫したのが、原子炉。核分裂が起こるときには膨大な熱エネルギーが生じる。この熱を利用したのが原子力発電。 核分裂によって放出される中性子はそのスピードが速すぎるため、次の核分裂を起こすには中性子の速度を落とす減速材が必要。減速材としては軽水(真水)、重水、黒鉛などがある。日本の原子力発電所は軽水を使っている。
核分裂のエネルギー
ウランの核分裂によって、どのくらいのエネルギーが生まれるかというと、ウラン235の1グラムで、石炭3t、石油2000リットル分のエネルギーを生み出すことができる。原子力は、少量の燃料で大きなエネルギーが取り出せるので、燃料の運搬、貯蔵の面でも優れている。
核分裂制御のしくみ
制御棒 核分裂をゆっくりと永続的に起こさせるためには、中性子の数をコントロールする必要がある。制御棒は、発生した中性子2~3個のうち1個を次の核分裂のためにウラン235にぶつけ、残りの中性子を吸収し、中性子の数を一定に保つ役割をもっている。単位時間あたりにおこる核分裂反応(連鎖反応)を一定の状態にすることで「臨界状態」を保つことができる。 中性子の数は、制御棒を上下に動かすことでコントロールする。制御棒を原子炉から抜くことにより制御棒に吸収される中性子の数が減少し、核分裂の回数が増加し出力が上昇する。逆に制御棒を原子炉の中に入れ、数多くの中性子が制御棒に吸収される状態にすれば核分裂の数は減少し、出力も減少する。このように制御棒を調節して、出力がコントロールできるしくみになっている。
燃料集合体の構造
原子力発電も、燃料となる「ウラン」がなければ発電できない。ウラン燃料を原子炉の中へ入れたり、取り出したりする際にバラバラにならないよう束ねたものを「燃料集合体」と呼ぶ。燃料は「燃料集合体」という形に加工されて原子炉に装荷(原子炉に燃料を収めること)される。燃料集合体は次のような過程を経てつくられる。 1、ベレット 燃料の原料は、焼き固められて、「ベレット」に加工される。 2、燃料棒 ベレットは、ジルコニウム合金でつくられた燃料被覆管につめられる。これが燃料棒。 3、燃料集合体 燃料棒を束ね、燃料集合体をつくる。燃料集合体の構造の大きさは、沸騰水型炉(BWR)と加圧水型炉(PWR)とで異なる。
参考文献https://www.fepc.or.jp/enterprise/hatsuden/nuclear/index.html 電気事業連合会