厳島神社
出典: Jinkawiki
厳島神社とは、広島県廿日市市の宮島にある神社である。1996年に世界文化遺産に登録された。
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遺産の概略
古来より、厳島は神道の聖地であった。厳島神社に伝わる杜伝によれば、創建は6世紀(593年)にまでさかのぼるとされている。創建当時の杜殿の所在地や様子は不明であるが、平安時代末期になると平清盛の篤い信仰のもと、徐々に社殿も整えられていき、今日の姿になったのは、12世紀(1168年)の頃と考えられている。厳島神社の建築様式に見られる建造物の配置は、設計技術、建築技術の質の高さを表すだけでなく、芸術性の高さを表現している。自然と調和を大切にする日本人の価値観が実感でき、自然崇拝に根ざした神道の宗教観を示す建造物の代表例としても重要である。
世界遺産と認められた登録基準
厳島神社が世界遺産に登録された基準は、
(ⅰ)人類の創造的資質を示す傑作
(ⅱ)建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化圏内での重要な価値観の交流を示すもの
(ⅳ)人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合体、もしくは景観の顕著な見本
(ⅵ)顕著な普遍的価値を持つ出来事もしくは生きた伝統、または思想、信仰、芸術的・文学的所産と、直接または実質的関連のあるもの(この基準は、他の基準とあわせて用いられることが望ましい)
具体的内容
厳島神社は、12世紀に時の権力者である平清盛の造営によって現在みられる壮麗な社殿群の基本が形成された。この社殿群の構成は、平安時代の寝殿造の様式を取り入れた優れた建築景観をなしている。また、海上に立地し、背景の山容と一体となった景観は他に比類がなく、平清盛の卓越した発想によるものであり、彼の業績を示す平安時代の代表的な資産のひとつである。このため、価値基準(i)に該当する。
厳島神社の社殿群は、自然を崇拝して山などを御神体として祀り、遥拝所をその麓に設置した日本における社殿建築の発展の一般的な形式のひとつである。背後に山をひかえ、前面が海に面するという、周囲の環境と一体となった建造物群の景観は、その後の日本人の美意識の一基準となった作品であり、日本に現存する社殿群の中でも唯一無二のものである。日本人の精神文化を理解する上で重要な資産となっている。そのため、価値基準(ii)に該当する。
厳島神社の社殿群は平安時代から鎌倉時代にかけての様式を現在まで継承し、自然崇拝から発展した周囲の景観と一体をなす古い形態の社殿群を知る上で重要な見本である。この点で価値基準(iv)に該当する。
厳島神社は、日本の風土に根ざした宗教である神道の施設であり、仏教との混交と分離の歴史を示す文化資産として、日本の宗教的空間の特質を理解する上で重要な根拠となるものである。このため、価値基準(vi)に該当する。
以上資料(1)の引用
モン・サン・ミッシェルとの交流
モン・サン・ミッシェル(Mont Saint-Michel)とはフランス西北部、ノルマンディー地方のサン・マロ湾にあるカトリックの修道院である。1979年に世界文化遺産に登録された。ユネスコに登録された名前は「モン・サン・ミッシェルとその湾」である。(2)の資料によると、モン・サン・ミッシェルと宮島は、海に浮かぶ世界遺産であること、信仰の聖地として1000年以上の歴史があること、それぞれの国を代表する観光地であることなどの共通点がある。厳島神社のある廿日市市と、モン・サン・ミッシェルとの観光友好都市提携 が2009年に結ばれた。
参考文献・資料
宮島観光公式サイト[1](1/31閲覧)
(1)世界遺産一覧表記載推薦提案書 文化庁 [2](1/29閲覧)
(2)モン・サン・ミッシェルとの交流 [3](1/29閲覧)
『21世紀 世界遺産の旅』 小学館
『今すぐ、行きたい!日本の「世界遺産」+候補地』小林克己 著 王様文庫