国民体育大会

出典: Jinkawiki

目次

国民体育大会とは

 国民体育大会(国体)は、敗戦直後の1946年に大日本体育会(後の日本体育協会)の主催により、荒廃で娯楽を失った国民と青少年にスポーツの喜びを与え、日本国内に広くスポーツを普及させる目的で、戦禍をまぬがれた京都府を中心とする京阪神地域で第1回目が開催されたスポーツイベントである。その後、毎年開催県を移動しながら全国的なスポーツ大会として行われている。これほどまで長く行われてきたスポーツ大会は世界的に稀なものであり、各都道府県持ち回り、都道府県対抗などの独特な方式で行われており、スポーツ大会として唯一スポーツ振興法という法律に明記されており、日本政府が1つの政策として日本のスポーツ振興の措置として機能させてきた歴史を持っている。最も新しい2018年には福井で開催され、今年2019年には茨城で開催される。

 国体は長い歴史の過程で、全国規模の大会としてスポーツ人口の拡大や施設の整備・拡充、選手強化など、日本の体育・スポーツの普及・振興に大きく貢献している。しかし、戦後の初期の国体は詮議復興や民族再建、国民国家再建というようなナショナリズムの範疇に拘束されていた。また、当初は日本体育協会が主催する民営の形態であったが、途中で文部省が主催者に加わり、その後開催県も主催者に加わり、3者共催形態となって、行政職の濃い大会運営の方向へ向かっていく。これは、ある面で国体が競技大会として体制を整えていくことを意味する一方、社会状況の影響を受けて、国体の性格が変容していく可能性を示唆している。

 一方、国体は全国47都道府県の持ち回り開催であるため開催県にとっての大きな政策となっている。開催する都道府県は半世紀に1度多大な財政出費を伴うことになっているため、地方財政が圧迫されるという問題が高度経済成長期から出ている。これは、高度経済成長期から開催県などが国体を通して地域開発・地域振興を図るようになったため国体はますます肥大化・大規模化し、華美になって財政圧迫につながってしまった。また、開催県は国体を県勢・県威孤児の手段として利用するようにもなった。これが開催県の勝利至上主義などにも繋がり、悪質な選手強化政策なども行われるようにもなった。スポーツ大会としては異様な動きを見せ、日本国民のためのスポーツ大会とはなっていないように思える。


ジプシー選手の問題

 ジプシー選手とは強い選手がほかの県出身の人物にもかかわらず自分の県に住民登録しなおし、その県で生活をし、その県の代表として大会に出場する選手のことである。ジプシー選手を呼ぶだけで莫大な費用がかかるうえに、このような人物を選手としてしまえば各都道府県対抗の試合とは言えなくなってしまう。東京オリンピック開催と同じ年の新潟国体でこの問題が明るみになったが、どこまでが許容範囲かはあいまいであり、現在でも100%解消されているわけではない。


2018年、第73回国民体育大会の競技

冬季種目(3競技) スケート アイスホッケー スキー

正式競技(37競技) 陸上競技 水泳 サッカー テニス ボート ホッケー ボクシング バレーボール 体操 バスケットボール レスリング セーリング ウエイトリフティング ハンドボール 自転車 ソフトテニス 卓球 軟式野球 相撲 馬術 フェンシング 柔道 ソフトボール バドミントン 弓道 ライフル射撃 剣道 ラグビーフットボール 山岳 カヌー アーチェリー 空手道 クレー射撃 なぎなた ボウリング ゴルフ トライアスロン

特別競技(1競技) 高等学校野球

公開競技(4競技) 綱引 ゲートボール パワーリフティング グラウンド・ゴルフ


参考文献

 権学俊「国民体育大会の研究」青木書店

 公益財団法人日本スポーツ協会HP https://www.japan-sports.or.jp/kokutai/tabid62.html


HN.96


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