国際共通語
出典: Jinkawiki
言語には2つの種類に分けられる。
自然言語は、歴史的・社会的に自然に形成されてきたものである。 起源を時間的に特定できず、複雑な構造をしている。 言語と結びつく歴史や文化を持っている。
人工言語とは、ある個人またはグループが特定の意図をもって作り出した言語である。 いつごろ、だれによって作られたかという記録が残っている。 整然とした構造である。 しかし大半が、文化や歴史をもっていない。
国家が作られ、大規模になっていくと、人々の意識は外国に及ぶようになる。
外国で生まれた知識を得たい、外国と交流する必要がある。そのための手段は、相手の言語を学ぶ必要がある。
しかし、外国語を学ぶ側がハンディを負うことになる。 現代の国際語といわれる英語に限ったことではないが、その言語を母語とする人々とそれ以外の人々の情報発信と受信の格差は開く一方である。
現代の英語ほどつづり字と音韻がズレたことばはない。 英語学習には多くの時間をとられる。
このような弊害を避けるために、また公平なコミュニケーションをとるためには、どの国のことばでもない中立的な言語を使うしかない。「国際共通言語」の考え方である。
民族固有の言語を認めあったうえで、できる限り平等に話をするための言葉が国際共通語である。
特別な能力がなくても、簡単にマスターできなくてはならない。 発音、つづり、文法、語彙が理性的に構成されなくてはならない。 そうなると、人工言語ということになる。
今日までに人工言語の数はおよそ800にのぼっている。 その中のひとつが、ザメンホフのつくった「エスペラント」である。
二木紘三 国際共通語の夢 筑摩書房 1994 参考