国際協力
出典: Jinkawiki
1、国際教育の目的
ODAでは次のように述べている
[前略]世界の大多数を占める開発途上国においては、今なお多数の人たちが飢餓と貧困に苦しんでおり、国際社会は人道的見地からこれを看過することができない。また、世界は、平和と繁栄が実現され、自由、人権、民主主義等が確保される社会の構築に向けた努力を行っているが、開発途上国の安定と発展が世界全体の平和と繁栄にとって不可欠という意味での国際社会の相互依存関係を認識しなければならない。さらに、環境の保全は、先進国と開発途上国が共同で取り組むべき全人類的な課題となっている。一方、平和国家としての我が国にとって、世界の平和を維持し、国際社会の繁栄を確保する5ため、その国に相応しい役割をはたすことは重要な使命である。[後略]
このように基本的理念としては、「人道的見地」「相互依存的関係の認識」「全人類的な環境問題」「国力に相応しい役割」の四つの点が挙げられている。この中でも。「人道的見地」と「相互依存的関係の認識」、「環境問題」は他の援助国でも言われていることであり、国際的にも一般的な見解と考えてもいいだろう。
また、『ODA白書』では次のように述べられていた。人道的考慮とは、豊かな国になった日本が
「貧困、飢餓などで苦しむより恵まれない国々を助けることは、富める国の責任である」 「我が国は食糧、エネルギー等の対外依存度が非常に高く、その繁栄は途上国経済の安定的発展に大きく依存しており、途上国の経済開発はわが国の国益に合致する」
2、ODA批判と実施上の問題
ODAが増加するにつれて人々のODAに関する関心も高くなり、新聞や雑誌には国際協力関連の記事が多くなった。その反面ジャーナリズムの世界では、ODAに対する疑問の声も少なくない。「もともと政府開発援助は、南北間の格差を縮小し、地球上から貧困や飢餓をなくしていくために制度化されたものだが、ODAが制定されて30年、南北間の格差は一部の新興工業地域(NIES)を除いてはほとんど縮小せず、かえって多くの途上国は債務の重圧に喘ぎ、そして衣食住の基本的必要を満足に満たすことのできない最貧層の住民は増えている」(西川さん 1999)「日本の援助には、光と影の部分がある。日本政府は、青年海外協力隊とか難民救済、飢餓救済、災害援助など、援助の光の部分を前面的に押し出して、国民に援助に対するイメージ形成を図ろうと努めている。そのため、一般には、援助の影の部分は、国民には知らされていない。むしろ、日本の援助においては、影の部分が多くの割合を占めている。とりわけ由々しい問題は、援助資金の流れが不明朗なことである」(鷲見さん 1989)
国際協力にはその理念に人類の理念ともいうべき人道の問題がふくまれているため、その実施にあたっては理想に相応しい厳格さ画求められているのは当然のことである。とりわけ、国際協力を実施する国内の政府機関が疑惑を招くことは、残念なことである。これが構造的なものであるとしたら、国際協力実施体制そのものの反省をしなければならないだろう。
3、青年海外協力隊
開発途上国で現地の人々と生活や仕事をともにし、その地域・社会の発展に協力しようとす青年(原則として20歳から39歳まで)の海外ボランティア活動である。1965年に発足し、約60カ国に2500人の隊員が派遣されている。発足時からの累計では2万人を超えた。青年海外協力隊は政府ベースの技術協力の一環であるが、協力活動を通じて青年自身が人間的に成長することをめざしており、他の技術協力活動とは異なった性格を有している。公募によって隊員を選考しているが、毎年2回の募集では4000人を超える応募があり、この事業が広く根付いていることがうかがえる。また隊員の活動がテレビや新聞などのマスコミ、さらには教科書に紹介されるなど、社会的にその評価が高まっている。 隊員の任期は2年で、それ以前の研修も含めると約2年半の間職場を離れることから、離職して参加するものも多い。現在の日本の就職状況の中、帰国後の就職が難しいのがひとつの課題でもある。それゆえ、教員や企業からの現職参加制度の推進が求められていた。2001年度には、教員の現職参加に100人の枠をもうけて行われるようになった。 90年度より、40歳から69歳までの中高年層を対象とした「シニア海外ボランティア」が行われている。