国際連合3
出典: Jinkawiki
国連の再生をめざして
近年、国際連合に対する多くの人々の信頼の念が失われてきていることが指摘されている。それは国連に加盟した1956年に、国連の平和を生み出す力にやや過剰な期待をかけたからかもしれない。人々は国連に様々な期待をかけ、異なる注文を付けているのである。世界各地にみられる深刻な貧困の問題や環境の問題などは大きく三つに分類できる。一つは国際平和と安全をめぐる問題であり、各地の民族紛争、軍縮や核兵器などの不拡散の問題、テロリズムの問題が含まれる。第二の分野は、途上国の開発をめぐる問題であり、環境の悪化や感染症の広がりも含めることができるであろう。三つ目の分野は、人権をめぐる問題であり、国境を越えた脅威から、個々人をどうやって守るか、戦争犯罪を裁く新しい裁判制度をどう作るか、民族間の相互信頼をどのように再構築するかなど考えなければならない事柄が多い。
国連の理想と現実
国連は、超国家的な性格を持った世界政府や世界連邦とは違って、これを構成する加盟国全部の意思に基づいた、基本的には自発的な国際協力の枠組みである。安全保障理事会における米・英・仏・ロ・中の5常任理事国や、中小国の中でも活発に国連で外交を展開している複数の国々の影響は大きい。中でも、アメリカの国連における役割である。アメリカは国連を時には美化し、いままでの権力政治に変わるものとして重要性を強調しすぎる傾向があった。国連憲章の掲げる高い理想と目的や原則の数々と、国連の具体的な行動やその背後に各国の利害、計算、思惑との間には、大きなギャップが存在する。国際関係の原則は成立するが、具体的な問題になると各国の政策や態度の違いが現れる。原則が現実の場で、どのように解釈され実行されているか見守らなければならない。
国際連盟の試み
連盟の基本的な理念は、国際平和が各国共通の関心事であり、戦争はどこの国で起こっても平和にとって脅威であることであった。連盟は国際平和と安全の保障が普遍的なものであるという理念を制度化したものだった。連盟の考えは、主権国家の間の自発的な協力を基盤として平和を達成するというものであった。主権国家間の世界的な協力のための機構として作られた点では、連盟も国連も同じ構成原理に基づいている。
国連の役割
1、 問題に関する調査・分析を行い、情報・知識を普及する中心としての役割。 2、 問題を国際的に取り上げて議論し、交渉する場としての役割。 3、 国際経済体制についての基準や政策を決定し、それを推進する役割。 4、 資金援助や技術援助を行う重要な手段としての役割。
参考文献
明石康(2006)「国際連合~軌跡と展望~」岩波書店
佐々木毅・鶴見俊輔・富永健一・中村政則・正村公宏・村山陽一郎(2005)「戦後史大事典」三省堂