地熱発電

出典: Jinkawiki

○地熱発電(ちねつはつでん)
 地熱(主に火山活動による)を用いて行う発電のこと。地中に掘削した坑井を通して地下に貯留されている地熱流体を噴出させ、その熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。再生可能エネルギーの一種であり、枯渇性エネルギーの価格高騰や地球温暖化の対策手法としても利用拡大が図られつつある。

○発電方式
 普通は地熱流体のうち蒸気のみを利用して発電する天然蒸気発電方式が採用される。多くの場合水混じり蒸気が噴出するので、気水分離器(セパレーター)で蒸気を分離して使用する。イタリアのラルデレロ、アメリカのガイザー、日本の松川(岩手県)のように乾いた蒸気の噴出する所は少ない。蒸気を採取するための坑井(蒸気井)の深さは、地下の構造や水分量などによって異なり、数10mから3,000mを超えるものまでさまざまである。
 タービンの型式としては、蒸気の中に非凝縮性のガスが多いときや小規模で一時的な発電のためには、排気を大気中に放出する背圧式タービンが用いられるが、普通は排気を復水器で凝縮させる復水タービンが用いられる。気水分離器で分離した熱水が高温多量であるときには、これを低圧蒸発(フラッシュ)させて発生した蒸気を混圧タービンの低圧段に入れて出力増加が図られる。これをフラッシュ発電といい、新しい地熱発電所にはこの型式が採用されているところが多い。復水器には直接接触式のジェットコンデンサーが採用され、それに用いる大量の水を冷却して再使用するための冷却塔が設置される。蒸気発電に対して熱水の熱エネルギーを利用して発電する熱水発電方式があるが、この方式の発電所はまだ例が少ない。
 地熱発電用のタービンはタービン入口圧力がたかだか7キログラム程度の低圧タービンであるため火力発電用のタービンに比して大型となる。また、蒸気中に含まれている非凝縮性ガスを除去するためのガス抽出器も独特の設備である。

○長所・短所
長所
・完全に自然のエネルギーを利用しているため、廃棄物や、二酸化炭素は出ない。
・天候に左右されない。
・限りない資源がある。
短所
・必ず、どこででもできるわけではない。
・地下水と同様、汲み上げすぎが環境にどのような影響を与えるかは未知数。
・蒸気には他の成分も含まれていて、タービンが早く傷む。
・発電コストは1kwあたり16円で、石油や石炭に比べると高め。

○現状
 地熱発電は原理的に燃料を必要としないので、燃料燃焼に伴う環境汚染はない。したがってクリーンエネルギーの一つとして位置づけられている。しかし、地熱井から噴出する非凝縮性ガスのなかには少量の硫化水素が含まれており、濃度は低く環境基準以下であれば問題はないが、大量に噴出する場合は脱硫装置が必要となる。また熱水中には微量のヒ素が含まれているため、熱水は全量地下還元されているが、経済的な脱ヒ素技術が確立されれば熱水は貴重な低温熱エネルギー資源としてそのまま各種目的に利用することができる。地熱発電のコストは大部分地熱発電所の建設費と地熱井の掘削費であり、地熱資源の質と発電型式によっても違ってくるが、試算された値は、水力・火力・原子力など、ほかの発電方法と十分対抗できる経済性をもつものである。また火力や原子力に比べると発電所の規模は小さいが、それなりの経済性をもっている点が強みであり、小規模分散型のローカルエネルギー資源としての性格も備えている。


参考文献
・フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)「地熱発電」
http://100.yahoo.co.jp/
http://www.remus.dti.ne.jp/~naruk/ene/chinetsu.html
http://www.eco-juku.com/contents/chinetsu.html


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