多国籍企業2
出典: Jinkawiki
超国家企業 transnational corporationを省略して TNC,世界企業を省略して world enterpriseとも呼ばれている。4~6ヵ国以上の複数の国々に生産・販売の活動拠点を置き世界的な活動や意思決定を行う大規模な営利企業のこと。製品市場、工場、研究開発(R&D)部門などをもつ。また、資源ないしは製造業関連の企業で,売上高1億ドル以上の巨大な資本力をもち、世界的な大企業を研究対象としている。 多国籍企業の直接投資の規模は、フロー・ベースで6,398 億ドル(2004 年)であり、ストック(残高)ベースで7.1 兆ドル(2002 年)と推計される。
課題
多国籍企業が進出先国に与えるデメリットとしては、代表的な例として資源・労働力・伝統的知識の「搾取」の3つが挙げられる。
資源については、西欧諸国の植民地支配の歴史を経て、多国籍企業はアフリカ、中南米、アジア等の金属資源、植物資源を搾取してきた。また近年、水資源が多国籍企業に支配されているとして問題となっている。 労働力では、途上国の働く者にとっては、多少の長時間・低賃金であっても、雇用機会は貴重であり、外国企業が支払う賃金は大きな貨幣価値をもつことが少なくない。そこにつけこみ、劣悪な労働条件で働かせることが問題になっている。 具体的な例としてアメリカのスポーツ用品メーカ一、ナイキ(Nike)が挙げられる。1990 年代、同社は東南アジアで女性や子供を劣悪な労働条件(長時間、低賃金)で働かせて搾取していると非難され、消費者の不買運動が起こるに至った。 伝統的知識では、メキシコ、コロンビァなどの中南米諸国、またインド、フィリピンなどのアジア諸国において、あるいは先住民族が先祖代々受け継いできた生活上必要な薬草などの知識・知恵が、多国籍企業によって適当な対価も払われずに持ち出されていることが挙げられる。
利点
多国籍企業が進出先国に与えるメリットとしては、雇用の増加・創出と輸出の開始・外貨収入の増大が挙げられる。
雇用の増加・創出については、多国籍企業の活動がホスト国の生産力に追加的なものである場合は多くの人手が必要になることで雇用が増加する。UNCTADのデータによると、多国籍企業の関連会社による雇用は発展途上国で1985年は700万人なのに比べ、1998年には1900万人まで増加している。 輸出の開始・外貨収入の増大については、UNCTAD によると途上国は1985 年から2000年にかけて世界輸出市場占有率を大幅に伸ばしている背景として、多国籍企業が多くの途上国の総輸出額において大きな割合を占めていることが分かっている。
参考
『2005年版ジェトロ貿易投資自書』 p .12 http://ci.nii.ac.jp/els/110006392079.pdf?id=ART0008391419&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1405676312&cp= 西南女学院 須藤秀夫 グローバリゼーションの担い手・多国籍企業の光と影
http://www.adm.fukuoka-u.ac.jp/fu844/home2/Ronso/Shogaku/C48-2/C4802_0117.pdf 世界大百科事典 第2版 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 大辞林 第三版