夜警国家2

出典: Jinkawiki

目次

夜警国家とは?

夜警国家とは、民間によって過不足なく供給可能な財・サービスに社会の仕組みを依存することで、政府・行政の規模や権限を可能な限り小さくし、低福祉・低負担・自己責任を目的とする小さな政府と呼ばれる思想・政策を徹底した国家のことを指す。具体的には、国営事業の民営化・私企業化及び規制の撤廃・国有資産の売却などを行う。政府が市場に介入するのは、公共財の供給などの市場の失敗への対処やマクロ経済安定化政策など、政府のみが適切に対処できるとされる事項のみに限られる。


利点・欠点

夜警国家のメリットは、政府の負担を減らす・財政が次第に肥大化してゆく“政府の失敗”を抑えることなどがあげられる。 一方、デメリットとしては、教育機会の不均等・職業の世襲的独占・犯罪増加・貧富格差の拡大・社会不安の増加・富の偏在などがあげられる。


日本での導入の背景

第2次世界大戦後、傾斜生産・護送船団方式(日本の特定の業界において経営体力・競争力に最も欠ける事業者(企業)が脱落することなく存続していけるよう、行政官庁がその許認可権限などを駆使して業界全体をコントロールしていくこと)や賃金物価管理政策、ヨーロッパでの企業国有化政策が行き詰まりを見せた1970年代に政府の硬直性が批判の対象とされた点、および、1991年のソ連崩壊によって社会主義政策の不合理性を認識した点によるものである。


具体例

・日本:1982年、中曽根内閣により、日本国有鉄道(現在のJR)・日本電信電話公社(現在のNTT)・日本専売公社(現在のJT)の民営化を実施

・アメリカ:1980年代、政府が担っていた業務を民間独立公共部門である非政府セクターおよび非政府セクターに移管した

・イギリス:保守党のサッチャー政権により、“サッチャリズム”と呼ばれる規制緩和・民営化政策を施行


引用・参考

・サッチャー時代のイギリス:その政治・経済・教育 森嶋通夫 著 岩波書店 1988年

・リバタリアン宣言 蔵研也 著 朝日新聞社 2007年

投稿者 S.H.


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