女性の人権
出典: Jinkawiki
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女性と労働
戦前、女性労働者の多くは、若年・低賃金で製糸・紡績工場を中心に働き、家計の補助的な役割を果たす存在であった。日本国憲法は、14条で性別による差別を禁止し、すべての国民に「勤労の権利」、働く人すべてに労働基本権を保障した。また、それらを具体化していくために、労働基準法などでさらに細かく定められるようになった。現代の女性労働者の職場としては、卸売・小売業が最も多く、それに次いで医療・福祉、製造業、サービス業となり、これら四業種でおよそ7割を占めている。また、女性の年齢別労働率は、30~34歳層をボトムとする「M字型」曲線を示している。これは、就業した女性たちが結婚や出産・育児によって仕事を中断し、それが一段落したころに再び就業するといったライフ・サイクルを表している。そして、現代の女性雇用労働者のうち、40.7%はパートタイム労働者である。
女性労働者に対する差別の解消
1947年制定の労働基準法は、18歳以上の労働者のうち女性についてのみ時間外労働を制限し休日労働や深夜業を禁止したりするとともに、母性保護のために産前産後休暇制度や生理休暇制度を設けるなどして、男女平等よりも女性保護の面を強調していた。また、労働基準法は、雇い入れ後を保障するものであり、雇い入れ時の段階までをも保障するものではないとして、包括的な雇用平等法の制定が進められた。
女性と政治
戦後いち早く確立したのは女性参政権であった。女性は、1945年12月衆議院議員選挙法の改正により選挙権・被選挙権を認められ、翌年46年4月10日に実施された戦後最初の衆議院議員選挙で初めてそれらの権利を行使した。当時、女性の有権者数は20,558人でその67%が投票に行ったとされる。女性の当選議員は39名で議員総数466名のうち8.4%を占めた。その後、女性議員は減少し、現在も多くは男性議員が占めているが、その背景には女性が国会議員として働くための諸条件が未だ整っていないことや、女性議員選出に対する選挙制度特に小選挙区制のもつマイナスの影響が指摘されている。
女性と家庭
女性の「家庭と仕事」についての意識の変化に関して、女性側では、「育児優先・家庭専念」は緩やかに減少し「両立」が増加している。一方で、男性側では、「家庭専念」の減少がみられるとともに「両立」が増加しているにも関わらず、「育児優先」には変化がない。さらに現代社会では、「高齢者の介護」に関する問題も多発しており、これらを基に、「男は仕事・女は家事・育児」を過去の性的役割分担とすると、現代においては「男は仕事・女性は仕事と家事・育児・高齢者介護」という新しい形の性的役割分担になっている。この状況では、女性の負担が圧倒的に大きくなり女性の社会進出を推し進める日本において重大な課題である。
参考文献
憲法教育研究会編(2005)『それぞれの人権〔第2版補訂〕-くらしの中の自由と平等-』法律文化社