孟子
出典: Jinkawiki
孟子
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来歴
前372~前289(戦国時代)。儒教の思想家。孔子の生まれた国である魯に近い鄒に生まれる。孔子に遅れること約100年、孔子の孫の子思の門人に学んだ。彼は孔子を崇拝しその学説を体系化し、孔子の道に基づいて戦国の乱世を救おうとした。その主張の根本は人間の内面的道徳性に信頼をおく性善説と、仁・義・礼・智を中核とした王道政治論である。権力と術数で統治する覇道政治に反対し、人民の生活の安定を最優先する政策を説いて孔子の理想を擁護し、広める役割を果たした。50歳を超えたころ梁・斉・宋の諸侯に王道政治の実現を説き、いくたびか政治顧問として理想の実現に努力した。晩年は故郷に帰り弟子の教育に専念した。
性善説
天が与えた、生まれながらの人間の本性は、善であるとする孟子の説。孔子がどんな失意や苦難のなかでも失わなかった人間性への信頼を、孟子を四端説として理論化した。四端説がすなわち性善説である。人は誰でも善を行う性に従って努力すれば「仁・義・礼・智」の徳を実現できる。人が悪事を犯すのは、この本性を見失った偶然的過誤であって、性善を否定することは自他を損なう悪であると説いた。
四端説
仁・義・礼・智の四徳の萌芽、発端が人間の素質として内在するとの孟子の説。惻隠の心・羞悪の心・辞譲の心・是非の心の四つをいう。
・惻隠の心…他人の悲しみを見過ごすことのできない同情心。仁の徳の発端。
・羞悪の心…自他の不善を恥じ、悪を憎む心。この心が善悪を区別し、事態に応じた適切な行為を導く義の徳の発端。
・辞譲の心…謙遜の心。さらに他者を尊敬する心。礼の徳の発端。
・是非の心…善・悪、正・不正を感ずる心。この心が智の発端。
孟子はこの説を立証するのに、子供が井戸に落ちようとした瞬間に、出会った人が利害・ 計算をこえて助けようとする同情心を例にあげている。孟子の性善説の根拠となる考え方である。
五倫
孟子が説く、5つの基本的人間関係と、それぞれにおいて守るべき道徳規範のこと。父子の親(親愛の情)、君臣の義(地位や事態に応じた適切な態度)、夫婦の別(男女の区別)、兄弟の序(兄弟間・長幼間の序列)、朋友の信(友人間の信義・誠実)以上があげられる。この五倫五常は儒教の根本的徳である。また墨家への批判も含まれている。
参考文献
「孟子研究」著 猪口篤志 笠間書院
「用語集倫理」監修 菅野覚明/山田忠彰
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