安楽死ジェットコースター
出典: Jinkawiki
概要
安楽死ジェットコースター(euthanasia coaster)とは、2010年芸術家のJulijonas Urbonasによって考案されたコンセプチュアルアートの一種であり、現在実在はしていない。 その名が示す通り、このコースターは安楽死のための乗り物であり、乗客は死に至る。
流れ
この安楽死ジェットコースターは510mからの降下と7回転の宙返りからなる。 安楽死希望者は1人乗りのシートにのり、3分ほどかけてゆっくりと地上510mまで上昇する。頂上にはFALLボタンが設置してあり、乗客は510mという死を実感する高さでボタンを押すか否かを選択する時間が与えられる。もしこれを押さなければ安楽死はキャンセルとなりコースターはゆっくりとバックして駅舎に戻る。FALLボタンを押した場合、時速360キロの速さで急降下する。1つ目の360度ループに入るとき乗客には5Gの重力がかかり、ほとんどの場合そこで脳が酸欠状態となり意識を失う。直径がだんだん小さくなる残りの6ループで、脳低酸素症による乗客の死は理論上確実なものとなる。
評価
Julijonasはこのジェットコースターを「幸福感さえ感じられる、生き生きとした死を与えるものである」と語っている。 現在、実際の現場において安楽死とは医者が致死薬を投与する「積極的安楽死」、医師が飲む致死薬を処方し、飲むか飲まないかは患者が選択する「医師幇助自殺」、生命維持の介入をやめる「延命治療の手控えと中止」の3種類に分かれるが、いずれも医師が関わるもので、安楽死とは病院で行われる、冷たいイメージを持たれがちである。 しかし「安楽死ジェットコースター」は遊園地にある楽しいイメージを持たれたジェットコースターを安楽死に用いることで、死に対する新たな考え方を示したため、このコンセプチュアルアートは世界中で話題となった。同時に「死への考え方が軽すぎる」といった否定意見も存在する。
http://julijonasurbonas.lt/euthanasia-coaster/
「安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと」安藤 泰至 岩波書店
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