宗教11

出典: Jinkawiki

目次

宗教について

宗教とは、人や自然の力を超える存在を認め(神や精霊)、教義(聖典)や信者による組織(教団)、戒律が存在するものである。 時には世界情勢にも関係するものとされており、人々の生活において、大きな役割を果たすという。 また一般的には、まじめで善なるものを追求するものとされており、最も重要なのは信仰とされ、信仰を持つ者は真摯で、何事に対しても真面目かつかたくなな態度をとるとされている。国際的には、世界の重要な要素であり、主要な要因とされている。

世界の宗教人口

 2005年において ヒンドゥー教:7億6400人(13.5%) キリスト教:19億17万4000人(33.6%) イスラーム:10億3345万3000人(18.25%) ユダヤ教:1345万1000人(0.24%)と主要な世界宗教の信者数で世界の宗教人口の過半数を超える。

ユダヤ教

 ユダヤ教とは、西洋で発展した宗教の中で最も歴史を持つ宗教である。ユダヤ教において聖典とされているのは「旧約聖書」とされているが旧約聖書はキリスト教徒におけるものであり、正確には「トーラー」(またの名を「モーセ五書」)である。この聖典では、信仰が厚いと評価されるのがアブラハムとモーセとされている。この二人のうちアブラハムは最初の偉大な族長とされ、彼を祖とする宗教伝統は、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム、の3つに大きく分かれている。一方、モーセは「出エジプト記」においてエジプトからカナンへ向かう途中で十か条からなる神との約束交わし授かったこと(十戒)で有名である。この十戒において重要なことの一つが、一神教と偶像崇拝の禁止との関連である。モーセのまえに現れた神は自らへのみの信仰と偶像崇拝の禁止を約束させた。偶像崇拝の禁止と、一神教においてはイスラームと共通している。しかし、キリスト教においてはちがい、イエスや聖母マリアなどが描かれているのだ。ならば、もしユダヤの神が偶像崇拝を認めていたらどうなっていただろうか。おそらく、放浪した先の神と同様に、同列に扱われていた可能性があり、唯一絶対の神としての地位が確保されるのが困難である。そのために、神は偶像崇拝を禁止にしたのである。  ユダヤ教の教徒の信仰というのは、自分たちは、唯一神である”ヤハウェ”の意図する完全な調和へと世界を高めるために特別に神によって選ばれた民であるという考え方を重んじており、常に神への愛を子供たちに説いている。彼らの生活は神によって与えた法に従い営まれており、いつの日か救世主メシアが現れ平和の訪れを告げると信じ生活を送っている。  ユダヤ教徒の人々の大きな特徴というのは長い間に迫害の歴史を歩み、ヨーロッパ各地に拡散、ユダヤ人としての国を持たないことである。現在のイスラエルは以前はパレスチナと呼ばれ、約2000年前にはユダヤの王国が存在していた。しかし、その王国はローマ帝国により滅ぼされ、このことを理由にユダヤ人たちはヨーロッパの各地に拡散することになった。また、ユダヤ人は、イエス・キリストを十字架にかけた民族としてキリスト教徒の反感を買うことになり、迫害の歴史を歩むことになったのである。そんな迫害の歴史上において、最も迫害を受けた時代というのが、第二次世界大戦中のヒトラーの率いるナチス・ドイツによる”ホロコースト”である。ユダヤ人を嫌ったヒトラーは、アウシュビッツにある強制収容所において、ガス室での大量殺人や過酷な労働での過労死などで、犠牲になったユダヤ人は、約10万人に上るという。また、現在においてもこのホロコーストに関係した元ナチス・ドイツの軍人は裁判にかけられているともいう。

キリスト教

 世界宗教の中で最も信で者の多い宗教。キリスト教は、キリストの生と教え、彼の死を軸に展開している。キリスト教の教典は「新約聖書」とされ、教えの中心は隣人愛であり、つまり神と仲間の人間を真摯に愛することである。  キリストが生きていた当時、ローマ帝国よる支配がなされていた。30歳までのキリストについては謎が多く、30歳の頃にヨハネにより洗礼を受けた。その後、様々な伝説を残していったという。時には横暴な行動もしていたことがあったという風にもいわれている。そんな中、人々の中にはキリストの教えを危険と考えローマ軍に政治犯として密告をした者もいた。そにため、キリストは十字架の刑に処されて死んだとされる。そして3日後に復活したという。いわゆる、行事として有名な「イースター」である。  キリスト教が普及するには、長い時間がかかったという。理由としては、布教をする弟子たちが様々な迫害をうけたためである。様々な時を経て、現在では多くの宗派にわかれ、「カトリック」「プロテスタント」というおおきな分裂もあったが、人々の生活や行事など幅広いところでキリスト教は関係している。  そんなキリスト教において、世界のカトリック信者の最高指導者とされるのが、ローマ法王とされている。法王はイエスの一番弟子であるペテロの後継者とされる。法王が亡くなったのちの後継者を選ぶのが”コンクラーベ”である。コンクラーベとは80歳未満の枢機卿が120名システィーナ礼拝堂において、閉じこもり候補者である枢機卿の中から一人を選挙により選ぶのだ。そのためには投票総数の3分の2以上の投票が必要であり、一度の投票ではその結果が出ることが少ない。そのため、結果を待つ各国のメディアは結果が出るまで長い時間待つことになるため「根比べ」と報道することがある。  キリスト教にも原理主義が存在しており、彼らは「聖書」に書かれていることを事実とし、一字一句厳守するという。そんな彼らが最も力を入れる問題が「妊娠中絶問題」である。1993年、アメリカのフロリダ州において、中絶手術を行う意思が中絶反対派により殺害され、1998年にはアラバマ州の妊娠中絶を行うクリニックが爆破されている。理由として、聖書には「汝、殺すなかれ」という戒めを守れという意図が原理主義にはあるからであると考えられる。また、アメリカにおいてキリスト教と科学の関係についても論争がなされている。テネシー州において、進化論禁止法が成立していた。1925年高校教師が進化論を教えたところ裁判にかけられ有罪判決が下ったという。しかしその後、判決の手続きに誤りがあったとして破棄され、進化論禁止法が1967年に廃止されたという。

イスラーム

 イスラームは世界の4人に1人が信者と言われ、キリスト教の次に信者の多い宗教である。イスラームという言葉の語源はアラビア語で「平和」「平安」を意味する”サラーム”からきている。唯一神アッラー全てをゆだね、心の平安を得ることを重要とする一神教という特徴をもつ。また、ユダヤ教と同様で偶像崇拝が禁止されている。  イスラームには大きく二つの宗派が存在し、その他にも宗派が存在、原理主義も存在しているという。有名なのは”スンニ派”と”シーア派”であり、この二つはイスラームにおける預言者ムハンマドの死後、後継者を選ぶ際に分裂した。イスラームにおける信者ムスリムの約15%が属するシーア派はムハンマドの従弟であるアリーを後継者として相応しいとし、そのうえでアリーの血を継ぐ者こそ正当な後継者であると主張、「アリーの党派」と呼ばれるようになったという。シーアというのはアラビア語では「党派」を意味する。つまり、シーア派とはアリーの血筋を正当とする党派というわけである。一方、スンニ派はムスリム約85%が属し、信者の信仰の最も厚かったとされるアブー・バグルを預言者の代理人(カリフ)とし、彼こそが後継者にふさわしいとした。彼らがスンニ派と呼ばれるのはムハンマドの言行(スンナ)を重要視するからである。 イスラームにおける啓典とされる「コーラン」全てで114章からなり独特の韻を踏んでいるという。内容に書かれているのはムハンマドが天使ガブリールから伝えられた神の言葉である。他の宗教の教典とは違い、物語形式にはなってはなっていないのが特徴です。コーランが編纂されたのは3代目のカリフであるウスマーンの指示によるものである。コーランの内容である神の言葉はムハンマドが読み書きができなかったために、ムハンマドが生きていたころの信者たちはムハンマドが暗記していた神の言葉を自らも暗記していき伝承してきたのである。しかし、ムハンマドに従うものが増えるのに連れて快く思わないものも出てきた。そのため争いが起こりもした。その後ムハンマドが亡くなり、彼の言葉を覚えている者も減少、神の教えを残せないことに危機感が生まれたためにコーランが編纂されたのである。またコーランは「声に出して読むべきもの」という意味を持っており、黙読するものではないのである。また、独特の韻を踏んでいるため朗々と読み上げていくとまるで音楽のように響くとされている。この響きこそ神の言葉である証拠とされている。  ムスリムの生活はすべてイスラームに基ずいているという。簡単に言うと常に神のことを考え生活を送るのがムスリムなのである。彼らは天国へ行くため6つのことを信じ5つのことを守らなくてはならないのである(六信五行)。その中でも五行に入る「信仰告白」は重視されており、これを行わなければムスリムとなることはないのである。  コーランの内容の中で「豚肉を食べてはいけない」という内容が存在する。豚肉を食べてはいけないことには様々な理由が唱えられているが、ムハンマドが生きていたころ、豚の病気が発生し食べると病気になる可能性があったためである。そんな中、2001年ムスリムの多く住むというインドネシアにおいて”味の素”の製造工程に豚の内臓から取り出された酵素が使用され、問題となった。実際には製品自体には使われずもめ事になることにはなかったのだが、ムスリムには大きな驚きであったという。

参考文献

*池上彰(2013) 『池上彰の世界の宗教が面白いほどわかる本』 (株)中経出版

*島田裕巳(2016)『教養としての宗教事件史』 株式会社河出書房出版

*メアリー・パット・フィッシャー 蓮池隆弘<訳>(2005)『21世紀の宗教』株式会社春秋社          


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