富山コーラン事件

出典: Jinkawiki

事件の概要

2001年5月21日の午前8時半頃、富山県小杉町白石のパキスタン人経営の中古車販売「ゴンダル・コーポレーション」の周辺にイスラーム教の聖典であるコーランが切り刻まれて散乱しているのを来店者がみつけ、経営者が小杉署に届け出た。翌日の5月22日には、事件を知ったムスリム(イスラム教徒のこと)たちが全国から約250人続々と小杉署、富山県警本部、富山県庁などに詰めかけて大騒ぎになった。当初の小杉署は代表者3人でムスリムたちと話しあいする予定であったが納得しなかったため6人で話しあいすることになった。その話しあいの後もムスリムたちは県警本部や県庁でデモを行った。事件から4日後の5月25日になると在留してるパキスタン人約350人が渋谷区のモスク(イスラム教の礼拝堂)での礼拝のあとプラカードを掲げるなどしてデモを行った。ちょうど同じ頃に都心の日比谷公園でも抗議を行われていた。事件から半年後あたりにこの事件の犯人は捕まり収束することになった。犯人は28歳の日本の女性で犯行の動機は騒ぎを起こして仲の悪かった父親を困らせたいというこれといってパキスタン人やイスラームに敵対心があるといったものではなかった。犯行の詳しい詳細としては礼拝所からコーラン3冊とハディース(預言者ムハンマドの言行録)を1冊盗みハサミで切り刻んで店前に捨てたというものだった。富山地方裁判所での彼女の判決は、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決となって終始がついた。

日本人のイスラームの見方

コーランというものはイスラム教徒にとってとても大事なものであり、神聖なものである。日本人はコーランというものがイスラームの聖典だということは知っていたが、イスラム教徒にとってどのようなものであるかははっきりと認識していなかった。また日本人はイスラム教徒の抗議でイスラームは攻撃的で激しい宗教の印象を持った。この事件を通して、イスラームが身近に存在することを知り、日本人のイスラームに対する理解不足を見せつける形になったのである。


参考文献

桜井啓子 『日本のムスリム社会』ちくま新書 2003年 [1] 富山のコーラン破棄にかかわるパキスタン人騒擾事件⑴ [2] コーラン破棄事件(富山県)に関する質問主意書

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