対人恐怖

出典: Jinkawiki

対人恐怖


目次

歴史

 対人恐怖という言葉は日常会話の中でもよくつかわれる日本語である。この言葉は外国の専門用語の翻訳としてつくられたものではない。一般には英語でanthropophobiaと訳されているがこれには正しい意味を伝えていないという批判もある。この言葉がはじめて日本の論文に登場したのは森田正馬(1932)においてである。彼は自身の論文で以下のように述べている。 「みずから人前を気にすることをもって恐怖するもので、羞恥恐怖と名付けたほうが適切である。」 彼はこの羞恥恐怖について 「周囲に対する対人関係で、種々の苦悩を起こすものが多いことから、近頃ある人はこれを対人恐怖と名付けたことがある」 と言っている。このある人が誰であるかは不明だが、対人恐怖という言葉が初めて登場したのはこの論文であるといわれている。


対人恐怖の分類

①対人緊張(人前で緊張することを気にして悩む)

②赤面恐怖(緊張し赤面することを、人に見られることが恥ずかしく悩む)

③表情恐怖(自分の表情がこわばり、ぎこちなくなり、自然にふるまえない)

④視線恐怖(人の目が気になる場合と、自分の目つきが周りの人を不快にしているのではないかと思い悩む)

⑤醜貌恐怖(自分の容貌が醜いために周囲の人にいやな思いを与えているのではないかと思い悩む)

⑥自己臭恐怖(自分の体から出るにおいが周りの人を不快にしていると思い悩む)

対人恐怖の治療法

 広義的な治療法として挙げられるのが森田治療法である。森田療法は入院を基本として、全期間を4期に分け各1~2週間を目安とする。

第1期 絶対臥褥期‐1人で1日中隔離状態の中横になってすごし、自らの悩みに直面する。

第2期 軽作業期‐規則的に起床し、軽い家庭作業に従事する。

第3期 重作業期‐重い作業や責任ある仕事をする。

第4期 複雑な実際生活期‐外出も自由になり、現実復帰への準備をする。

以上が広義の治療法の例である。また狭義の治療法の例として行動療法、段階的イメージ訓練、内観療法、夢分析、箱庭療法、認知療法などが存在する。

参考文献

「対人恐怖の心理‐対人関係の悩みの分析‐」 著:永井徹 サイエンス社

「対人恐怖」 著:貝谷久宣 講談社


投稿者 N


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