尊王論
出典: Jinkawiki
尊王(皇)論とは、日本においては、日本国の存在の根拠を天皇(神)に依ろうとする考え方、それにより天皇を尊ぶ思想のこと。元は中国の儒教に由来するもので、王者を尊ぶ思想である。
尊王論とは、武力(覇道)によって支配する「覇」(覇者)に対して、徳(王道)によって支配する「王」(王者)を尊ぶことを説いたものである。尊王が日本に持ち込まれた際に、日本では天皇が王にあたるること、また天皇は単なる国王ではなく皇帝であるという優越意識から、「尊皇」の字に置き換えて用いられることもあった。
日本でこの思想が盛んになるのは江戸後期のことである。当時支配を行っていた幕府よりも天皇を上位とし、絶対視する考え方が強まった。これは特に、修好通商条約で幕府が混乱していた際に、朝廷に伺いを立てたことでより顕著になった。更にその後の条約勅許問題では、攘夷運動と結びついて討幕運動の基盤となった。
もともと、尊王論それ自体は、幕府を否定したり排するものではない。しかし江戸時代後期の尊王論は、開国や外国への不安や不満により天皇親政の古代を理想化したことや攘夷運動や尊皇斥覇論との結びつきから倒幕の動きが高まった。尊皇斥覇論とは「仁徳をもち天命を受けて民を治める王者を尊び、武力をもって競争者を打ち負かして政権を握った覇者を賤しむ」こと。徳をもって治める王を尊び、武力をもって政権を握った覇者を斥けることでもある。江戸時代後期には、天皇を王とし、幕府を覇と見なされることもあった。
C.K