少年法
出典: Jinkawiki
目次 |
概要
少年を成人とは異なる特別な手続で教育的措置を施すための手続を定めた法律。現在の少年法は、戦後、戦前の旧少年法を全面的に改正したものである。満20歳以上の成人の犯罪捜査や裁判は刑事訴訟法に基づくが、20歳未満(19歳以下)の少年犯罪は原則として、少年法の手続きで進められる。つまり、少年法は刑事訴訟法の少年版である。少年法は刑罰ではなく、非行少年の性格矯正や環境調整のための保護処分(少年院送致、保護観察など)を規定している。このように、少年法は少年教育・福祉法の側面を持っている。
「少年」 20歳に満たない者(少年法2条) 14歳に満たない者は罰しない(刑法41条)
「非行少年」の種類(少年法3条)
①犯罪少年(罪を犯した14歳以上の少年)
②触法少年(罪を犯した14歳以下の少年)
③虞犯(ぐはん)少年(罪を犯す虞(おそれ)のある少年)
理念
①国親(くにおや)思想、つまり国が親となって非行少年の適切な教育を行うことにより更正を図り、もって社会の安全を確保するとの考えを根幹理念としている。
②刑法で14歳以上となっている刑事罰適用年齢を少年法が16歳以上に限定したのは、人格未成熟なるがゆえに、少年が環境や対人関係の影響を強く受けやすいという特質に対する配慮である。
③「刑事処分」か「保護処分」かの選択を裁判官の自由裁量にゆだねたのは、裁判官が少年のこれまでの生い立ち等を多様な角度から検証して決める方が、少年の更正に役立つと共に、犯罪の再発を防ぎ、社会的にも有益であるとの思考に基づくものである。
2000年度「改正」概要
①刑事処分対象年齢を16歳以上から14歳以上に引き下げる。
②16才以上の少年の重大犯罪に「原則逆送」制度が導入する。
③審判に検察官が立ち会う制度が認められる。
2007年度「改正」概要
①触法少年に対する警察官への調査権限付与。
②少年院送致年齢の下限の「おおむね12歳」への引下げ。
③保護観察中の遵守事項を守らない少年に対する少年院収容処分。
様々な論点
・改正の理由が世論、すなわち国民感情、あるいは被害者感情であるという考えがあるが、果たして厳罰化が国民や被害者を救済するのか。それよりも、被害者 の具体的な救済措置手段(心のケア・生活保障)を法的に保護することを優先すべきではないのか。
・たとえ少年でも人殺しに権利を保障すべきではない、容赦なく罰する、なぜなら殺された人に権利保障ができなくなってしまうのだから、とする考えは、少年 の可塑性をあまりにも軽視した考えではないか。少年は間違いながら成長していくものではないのか。
・懲役を終え、または冤罪で何年も拘束されていた少年が成人となって世間に戻ったときに、果たしてどのように成長期を補うことができるのか。