屋久島
出典: Jinkawiki
九州の大隅半島沖にある屋久島、大島諸島を形作るもだが、鹿児島県に属する島で、島の面積の21%が自然遺産として世界遺産に登録された。屋久島の島の周囲は132kmあり、日本百名山にも挙げられる宮野浦岳が中央にそびえている。その他にも1000mクラスの山々があり、「洋上のアルプス」という別名がついた。 この地形がおりなす気候には、実に亜熱帯から亜寒帯までが含まれ、九州から北海道の気候が一つの島で見られるということになる。そして、島の90%を占める神秘的な森や特異な生態系に1500種、日本の植物種の7割以上の植物種がひしめきあい、さらに固有種(世界で屋久島だけに自生する固有の植物)が約40種、屋久島を南限とする植物が約140種、北限とする植物が約20種も見られるという特性から「東洋のガラパゴス」とも呼ばれている。
屋久杉
日本での杉の南限が屋久島。その南限で一般に樹齢が300年ほどと言われている杉が、2000年、3000年もの長寿の杉になるのは、年間4,000mmから10,000mmもの多雨に恵まれている屋久島の特殊な自然環境と、屋久杉の樹脂の特性が起因している。屋久島の土台は花崗岩で栄養分が少なく、杉の生長が他の地域に比べ遅くなる。すると、年輪の幅が緻密になり材は硬くなり、そうなることで樹脂道に普通の杉の約6倍ともいわれる樹脂がたまる。この樹脂には防腐・抗菌・防虫効果があるため、屋久杉は長い年月の間不朽せずに生き続けられるのである。また、硬質・防腐・抗菌・防虫などの特性をもつ屋久杉は古くから珍重され、屋久杉の平木がそのまま通貨になった時代もあった。
通称、樹齢1000年以上の杉だけを屋久杉と言い、1000年以下を小杉、植林の杉を地杉と区別している。その屋久杉は、標高にして600m以上から1300mくらいの所に多く自生し、1200m前後に巨大杉が多く見られる。
・縄文杉…1966年5月、上屋久町小杉谷の標高1300メートル地点で、樹高30m、根廻り43mの縄文杉が発見された。発見された当時は、発見者(岩川さん)の名前をとって大岩杉と呼ばれていたが、取材した新聞記者が縄文土器の火焔土器に似ているということからこの名前を付けたと言われている。
推定樹齢は7200年、世界最古の植物ともいわれているが、あくまで推定樹齢なので、確かなことはわかっていない。
現在、縄文杉は一般の人の手には触れることができない。というのも、木の廻りを皆伐されたため、多量の雨と強風により土が流され根が露出し、さらには登山者が根を踏みつけるという状況が縄文杉を倒壊の危機に直面させていたからである。現在は、木の15mほど手前に設けられた高台から望めるようになっている。
・ウィルソン株…樹齢3000年、根廻り32m、胸高直径4.39m古株の中は空洞になっていて、小川が流れて広さは10畳ほどの大きさ。1586年(天正5年)牧村の五郎七が足場を組、豊臣秀吉の命令により京都の方向寺建立の為に切ったとされている。
米国のウイルソン博士によって世界に知らされたのでこの名がついている。
・三代杉…今よりおよそ3500年前に一代目の杉が生えて約2000年生き、二代目はその倒木の上に偶然発芽。親木を肥やしとし約1000年生き、三代目は株より芽を出した一本の苗が成長し、現在500年しかたっていないが輪廻転生を覚えさせる樹として保護されている。
・大王杉…根廻り43m、樹高24.7m、樹齢3000年、胸高直径3.53m、縄文杉が見つかるまで、屋久島でもっとも巨樹として君臨していた。
・夫婦杉…樹齢2000年、どちらか一方から出た脇枝が相手の幹に喰い込まれて、手をつないだ姿をしているのでこの名前がついている。
・紀元杉…樹齢2000年、樹高19.5m、胸高直径2.58m。ヤマグルマやヒノキなどの着生樹が多いのが特徴。
・弥生杉…標高710mにある、上屋久町の中では最も人が訪れる屋久杉。推定樹齢3000年、胸高周囲8.1m、樹高26m。ナナカマド、サクラツツジなどの着生植物が見られる。現在、弥生杉の根を踏まないようにスギ材を用いて歩道を整備していている。