山びこ学校
出典: Jinkawiki
中学生の生活記録集。無着成恭。1951年青銅社刊。山形県山元村山元中学校の学級文集『きかんしゃ』の中心に編まれた生活記録文集で、学級全員43名の散文、詩、日記、版画などが収められている。日教組文集コンクールで文部大臣賞を受賞した江口江一『母の死とその後』が代表的。貧しい山村の実生活の中で、子供たちが感じる疑問を率直に取り上げ、学級で話し合い、時にはデータを調べて書いたもので、担任の無着成恭は「あとがき」で「私は社会科で求めているような本物の生活態度を発見させる一つの手がかりをつづり方に求めた」「貧乏を運命と考える道徳にカンと反抗して、貧乏を乗り超えていく道徳へと移りつつある勢いに圧倒された」と述べている。綴り方を書くことによって自分たちの貧しい生活や、現実社会に対する鋭い洞察力と論理的な思考力を養い、豊かな村づくりを目指して、率直に自分の考えを述べあう子供たちを育て上げたところに、綴り方教育を超えた人間教育があったと評価され大きな反響を呼んだ。 生徒の一人佐藤藤三郎は地域のリーダーとして活躍することになる。
引用文献
渡邊靜夫 日本大百科全書23 1988 小学館