平和主義
出典: Jinkawiki
日本国憲法前文および日本国憲法第9条で平和主義が掲げられており、国民主権(主権在民)、基本的人権の尊重とならぶ三大原則の一つとなっている。平和主義ができた背景には、1945年8月6日の広島の原爆投下 8月9日長崎の原爆投下がある。日本が第二次世界大戦によって世界中を巻き込み、世界各国の国民に悲惨な状態をもたらしたという歴史的な反省と原子力爆弾を受けた唯一の被爆国という悲惨な体験をしたことに基づいている。この原爆の悲惨さと脅威を全世界に伝えるべく平和主義を取り入れた。非核三原則と呼ばれる「持たず 作らず 持ち込ませず」を掲げ原子力による武力を否定し拒否している。平和に関して日本は世界的に見てもかなり進んでいる先進国となっている。これは、新しい世界の基準を作り出す先駆けと言える。しかし、武力を一切持たないとしている日本に自衛隊というものが存在する。これは、武力ではないのかという論争が今日になっても絶えない。また、日本国憲法 前文に「平和のうちに生存する権利」とかかれ、国民は平和のうちに生存する権利を保障されている。 日本国憲法9条「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とされているように、あらゆる戦争の放棄、一切の軍備の禁止、交戦権の否認を規定している。世界各国にも戦争放棄をしている国があるが、日本国憲法第9条のようにあらゆる戦争の放棄、一切の軍備の廃止、交戦権の否認そして完全な非武装主義を宣言し明確にしている国は日本しかない。積極的に平和を実現しようとしている日本国憲法は全世界に平和主義を先駆けていることが大きな特徴である。
自衛隊は戦力か、自衛権の範囲内のことなのか
1950年6月朝鮮戦争が起こると、GHQの指令により、政府は「警察(力)を補う」ことを目的として7万5千人からなる警察予備隊を創設した。これは国内の治安を維持するための部隊であるとされていた。そして1952年警察予備隊を保安隊に、海上保安を担当していた海上警備隊を警備隊に改編し重装備化を進め、定員を11万人に強化した。この年、政府の統一見解では、憲法が禁じている「戦力」とは「近代戦争遂行に役立つ程度の装備、編成を備えるもの」であると表明した。そのうえで、保安隊、警備隊は近代戦争遂行能力を備えていないから「戦力」ではないと説明した。さらに1954年に政府は自衛隊法と防衛庁設置法を制定し、定員が12万人の自衛隊を誕生させた。その後、自衛隊は着実に強化が進められ、世界水準で言っても相当強力な部隊となっている。しかし、政府は、自衛隊の設立以来、一貫して合憲であるという見解をとっている。「自衛のための必要最小限度の実力」つまり「自衛力」に当たり憲法のいう戦力ではないとしている。こうした考えに立てば、世界中に多くの国家が「戦力」を持っていることになる。しかし、政府の見解は曖昧な点もあることから憲法改正の議論など多くされている。
参考文献 伊藤真監修 高野泰衡著 「憲法の入門 図解でわかる憲法」日本実業出版
歴史教育者協議会編 「ちゃんと学ぼう憲法1」青木書店