広汎性発達障害

出典: Jinkawiki

目次

広汎性発達障害

定義

  広汎性発達障害とは、自閉性障害やアスペルガー症候群などをはじめとした、自閉症類似の病態の総称である。この概念は、比較的新しく1980年代に入って高機能自閉症者が注目されていう中で、自閉性を中心の障害とする包括的な概念として成立したものである。「自閉症スぺクトラム」も広汎性発達障害とほぼ同じ意味である。また、高機能自閉症、高機能広汎性発達障害という言葉もあるが、これらは、知的発達がほぼ正常な自閉症のことを指す。高機能自閉症とアスペルガー症候群というそれぞれの用語が成立した背景は異なり、これらを区別する見解(アスペルガー症候群は幼少期に言語発達の遅れが見られない障害・アスペルガー症候群の方が知的能力が高い等)がある。

歴史

広汎性発達障害という包括的な概念に至るまでの自閉症の歴史を概観する。杉山登志郎氏は、自閉症の歴史について、きわめて特異的である点として以下の2つを指摘している。 1. 頻度が高く、独特の病態であるのにもかわらず、20世紀の中頃までとりあげられることがなかったということ。自閉症が研究としてはじめてとりあげられたのは、1943のカナーによるものである。しかし、それまで自閉症者が存在しなかったというのは考えにくい。杉山氏の指摘のように人類の歴史とともにひっそりと存在していたのでは、ないかと考える。例えば、中世のロシアにおいて人々はに崇拝されていた「聖なる愚者」には、妙に変わった非合理な振る舞いや、社会的な習慣に無頓着であること、オウム返しの多い話し方などから、自閉症者がいたのではないかという指摘がある。 2. 特異的なのは、自閉症についての基本的な考え方が非常に大きく変わったという点である。精神医学においては伝統的に精神障害を以下の3つのカテゴリーに分類している。 (a) 外因 (器質因)性精神障害:(中枢神経系)自体の生物学的メカニズムの失調による精神障害 (b) 心因 (環境因)性精神障害:心理的なメカニズムの失調による精神障害 (c) 内因性精神障害:(a)(b)どちらとも決定づけられない精神障害

[参考文献]

1.「発達障害の心理臨床」子どもと家族を支える療育支援と心理臨床的援助  田中 千穂子・栗原はるみ・市川奈緒子[編] 有斐閣アルマ 2.「発達障害の子ども達」 杉山 登志郎 著 


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