弓奏弦楽器の弦

出典: Jinkawiki

目次

概要

ストラディヴァリの時代、弦といえば羊の腸を乾燥させてより合わせた裸ガット弦だった。そこから技術が進歩するにしたがって金属の芯線にさらに金属を巻いたスチール弦、合成繊維を束ねたものに金属を巻いたナイロン弦が開発された。


裸ガット弦

古くから、あらゆる弦楽器の弦として広く使われてきた。家畜(主に羊や牛)の腸を細く割いてより合わせて作る。より合わせた後に乾燥させた状態で一応の完成になる。ガット自体は自然素材のため、湿気を吸うとより合わせが戻ったりほつれたりする原因になる。これを防ぐために、昔からガット弦には油を染み込ませることが行われた。いまでも表面処理をしていないガット弦(「ナチュラルガット」と呼ぶ)の場合は、実際に楽器に装着する2週間ほど前から、良質のオイル(料理用のオリーブオイル、アロマオイルのキャリアに使われるホオバオイル。赤ちゃんの肌につけるベビーオイルなど)に漬けて染み込ませ、きれいに拭き取ってから使う。家畜の腸を使うといっても、牛や羊など色々なものがある。牛のほうが固目でサステインが長い。つまり、弦楽器には羊が向き、撥弦楽器(ギターなど)には牛が向く。


スチール弦

安定性、耐久性が持ち味である。ガットに代わる素材として開発された弦で、金属の線が用いられている。しなやかさや音の柔らかさでは劣るが、十分な音量を得ることができる。また、高音が出やすい。伸びにくいため、安定性や耐久性に優れ、チューニングが容易であることが特徴である。寿命が長くて取り扱いやすく、また低価格なため、初心者の方を中心に、中学高校のオーケストラで、また子供用分数バイオリンにも多く使われている。他の素材の弦と比較すると音色は金属的な印象を受けるが、クリアで明るい音を好む人には好評。特にチェロ弦においては、スチール弦が圧倒的に多く使われる。


ナイロン弦

現代の主流の弦である。その名の通り芯材がナイロンの巻線。ナイロンといっても実際には様々な合成繊維が使われている。芯材の構造や、その芯材に巻かれる巻線の金属も各メーカーが工夫を凝らし、弾きやすく様々な音質を産み出している。ガット弦の柔らかな音色を目指しながら、チューニングの安定性などはガット弦より取り扱いやすいため、たいへん人気がある。スチール弦よりも音が繊細である。また、ガット弦より低価格で耐久性も優れ、ガット弦とスチール弦の長所を兼ね備えた弦と言えるだろう。そのため近年ではたいへん人気があり、毎年のように各社メーカーから新製品も発売され、多くの人がナイロン弦を使用している。特にバイオリン弦とビオラ弦においては、現代の弦の主流となっている。


参考文献・参考ページ

柳田益造:編著

足立整治、高野佐代子、菊田浩、徳弘一路、西口磯春、若槻尚斗、山田真司、小坂直敏、山田益造:著者

『楽器の科学 図解でわかる 楽器のしくみと音の出し方』

http://www.coastaltrading.biz/gut.html

http://www.violin-p.com/clm/string.htm


'agus'


  人間科学大事典

    ---50音の分類リンク---
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                  
                          
                  
          

  構成