待機児童2

出典: Jinkawiki

待機児童とは

昔から地域に根ざして子どもたちを預かり、保育料が安く、庭があるなど施設も優れている、などの理由から保育園入園を考える家庭で、まず子どもを入園させたいと考えるのが認可保育園だろう。その認可保育園に入園したいと希望しても入れていない子どもが「待機児童」である。 待機児童が多い地域では、認可保育園に入園するのは至難の業である。待機児童が最も多い東京都内のある地域では認可保育園に入園を希望する子どもの約半数しか入園できていない、というデータもあるほどだ。 少子化のはずなのに、なぜ待機児童は減らないのだろうか。


現状

保育園に入るための活動、いわゆる「保活」とは何か、ということについて説明する。本来、児童福祉法第24条には、子どもを保育したいと親が思ったら、市区町村が責任を持って保育を行うことが明記されている。しかし、現実には保育施設が足りない状況がある。そこで、保育所に入るための活動=「保活」が必要になっている。この言葉は2012年に「AERA」が作った言葉である。 日本で子どもを預けることができる保育施設には大きくわけて「認可保育所」「認可外保育施設」の2種類に分けられる。 「認可保育所」とは児童福祉法で定められた施設の広さや子供ひとりあたりの保育士の配置人数、給食の設備などをクリアして都道府県に「認可」された、定員20人以上の保育施設を指す。さらに市区町村が認可する定員19人以下で主に0〜2歳を保育する「地域型保育」も「認可」に含まれている。それぞれ公立、私立の施設があるが、いずれも申し込みの窓口は市区町村になる。 現在は介護保険にならって「給付制」で運営されており、親の保育の必要度に応じた「認定」を受けなければならない。運営の費用は国が半分、都道府県と自治体が4分の1ずつ負担するほか、保護者が負担する保育料を加えて運営されており、保育料は市区町村ごとに世帯の税額によって決まる。

一方、「認可外保育施設」は児童福祉法最低基準を満たしていなかったり、満たしてもあえて施設独自の保育を行うために認可を受けていない施設だ。こちらを利用するために介護保険のような「認定」を受ける必要はない。施設によっては市区町村から多少の補助を受けているところもあるが、認可保育所に比べれば保育費が高額になる場合が多い。 認可外保育施設の中には、「認証保育所」(正式には「東京都認証保育所」)や、「企業主導型事業所内保育所」など、東京都や内閣府が運営許可を出している施設もある。 東京都認証保育所は、元々待機児童解消のために始められた制度で、現在は各地に同じように市区が単独で助成金を出している保育所ができている。また、企業主導型事業所内保育所は、昨年度からスタートした新しい制度で、主に企業や各事業所が、自社の職員の子どもを預かるために設置する施設だ。


原因

少子化なのに、待機児童が多いのはなぜか。いくつかの理由が挙げられる。まず、女性の社会進出の増加、雇用形態の変化による共働きの家庭が増えたことにある。現在、25歳から44歳の結婚している女性の就業率は60%を超えていて、全世帯数から見ても20%以上が共働き世帯となり、不景気により出産を機に退職するよりも働く選択をする女性が増えている。 また、核家族化が進み、親世代に子供を預けることができない点も原因の1つとなる。2015年段階で、児童のいる世帯のうち79%が核家族世帯となっていて、このうち1人親世帯は7%と年々増加の傾向にある。これらの状況が重なり、子供を預けなくては働けない家庭が増えている。しかし、その需要人数に対し保育関連施設や保育士が不足しているため受け入れることができず待機児童として入園待ちをしているのである。


対策

現在、2017年のピークまでに待機児童問題の解消を目指し、40万人の保育の受け皿を確保する「待機児童解消加速化プラン」を打ち出している。計画としては2段階に分かれ、2013年から2015年までを緊急集中取組期間として、緊急プロジェクトを行っていた。 これは、意欲のある地方自治体に対し強力な支援を行い、保育の量拡大と待機児童解消を図る目的となっている。2015年には子ども・子育て支援新制度をスタートさせ、2017年までの2年間で更に整備を進める取組加速期間となる。 緊急プロジェクトの支援内容は5つに分けられる。

1、賃貸方式や国有地も活用した保育所整備(ハコ) 2、保育を支える保育士の確保(ヒト) 3、小規模保育事業など新制度の先取り 4、認可を目指す認可外保育施設への支援 5、事業所内保育施設への支援 場所の確保が難しい都市部では国有地を活用するなどの援助や費用補助をすることで保育所の整備をし、潜在保育士の復帰を促すための処遇改善と認可外で働く無資格者の資格取得の支援によって場所と人材を確保する内容となっている。

また、幼稚園でも預かり保育などの保育園の性質を持つ施設にすることで即効性のある受け皿確保を図り、認可外保育園から認可保育園に移行する場合の支援により、保育施設の数と質を上げるものとしている。


保育士の就業者数と認可保育園の数が増えることによって東京都内をはじめ、全国の「待機児童」の数が少しずつでも減っていき、いつか待機児童数が0になることを願っている。


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