心の理論
出典: Jinkawiki
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概要
心の理論とは、ヒトや類人猿などが、他者の心の動きを類推したり、他者が自分とは違う信念をもっているということを理解したりする機能のことである。発達心理学では、人の行動の背後に「心的状態」が存在することを理解できる個体は、「心の理論」をもつと呼ばれる。心の理論は、発達のある時点で獲得されるもので、4歳ごろに獲得される。自閉症児などに心の理論の獲得の困難が見られ、それによって社会性の問題につながる。
誤信念課題
心の理論の有無を測る課題と呼ばれており、1983年にワイマーをバーナーによって考案された。内容は、サリーとアンが遊んでいました。サリーはボールを、カゴの中に入れて出て行きました。サリーがいない間にアンがボールを別の箱の中に移しました。サリーが部屋に戻ってきました。「サリーはボールを取り出そうと、最初にどこを探すでしょう。」と被験者に質問する。正解は「カゴの中」だが、心の理論の発達が遅れている場合は「箱」と答える。サリーとアンのやり取りを利用することからサリーとアン課題とも呼ばれる。
スマーティー課題
スマーティーというお菓子の箱を利用して、他者の信念に加えて、自分自身の過去の信念を子どもが正しく理解できるかどうかを検討する課題であり、ゴプニックとアスティントンによって考案された。
心の理解のプロセス
誤信念課題を考案した一人であるバーナーによると、4歳ごろ子どもは、心を「現実そのもの」ではなく、「表象(現実を映し出したもの)」として理解する能力(メタ表象)を獲得するとされている。バーナーは、4歳ごろにメタ表象能力が獲得されることによって、自分や他者の心の理解が可能になると考えている。さらに、心の理解には、言語能力や実行機能などといった様々な領域をカバーする「領域一般的能力」の発達が重要と考える立場もある。これらの立場では、領域一般的な能力の発達が、心を理解する土台となると考えられている。その他にも、生まれながらにして子どもには心を理解するしくみが備わっていると考える生得論もあり、現状では研究者の立場によって一致した見解が得られていない。