戦争責任

出典: Jinkawiki

戦争責任


1 戦争責任とは

戦争責任とは狭義には戦時国際法(国際人道法)に違反した行為に対する責任を意味する。

すなわち侵略戦争の計画・準備・遂行という平和に対する罪を犯したこと、あるいは戦争のなかで非人道的な行為、つまり通例の戦争犯罪や人道に対する罪を犯したことへの責任を意味する。 そこでは与えた被害に対する謝罪や賠償責任が生じる。前者の平和に対する罪は第一次世界大戦後から形成され始め、第二次世界大戦後には確立、ニュルンベルク栽培と東京裁判で適用された。 後者のうち、通例の戦争犯罪は十九世紀末から国際社会で認められるようになったものであるが、人道に対する罪はナチスによるユダヤ人大量殺害の経験を踏まえて第二次世界大戦中に作られたものである。  狭義では、交戦国・国民に対する法的責任にとどまらず政治的・道義的責任など多様なレベルで責任が含まれまた相手国民だけでなく自国民への行為も責任に含まれる。 例えば、国民を侵略戦争に駆り立てた政治家や、マスメディア、沖縄戦のように自国民を虐殺した軍、無謀な作戦で多くの将兵を餓死させた軍指導者の責任も問われる。 侵略戦争に加担した国民の責任というような道義的責任もある。さらに、侵略戦争や虐殺行為を二度と繰り返さないような社会や国家を建設するという歴史的な責任もある。


2 日本における戦争責任論  日本においては敗戦後、東京裁判で免責された昭和天皇の責任を含めて戦争責任の議論が始まるが一部知識人レベルにとどまり、実証的な研究が始まるのは1982年の教科書問題以降だった。 さらに広く国民的な議論になるのが1990年代である。日本軍慰安婦や731部隊、南京虐殺などの被害者の告発を受けて実証的な研究が本格化した。同時に戦争責任をどのように果たすのかという 議論が始まり、国家間の賠償で解決したという議論を批判し、被害者への謝罪と賠償、歴史的教育や記念碑、記念碑・記念館の建設を含めた再発防止措置などの具体策が提案された。 他方、日本の責任を否定する立場からの反撃も起こり大きな社会問題となっている。


3 研究の流れ

日本軍や連合国の資料に基づく実証的な研究が1980年代以来本格化するが、他方、戦争責任問題を数十年にわたって放置してきた日本社会の在り方についての研究、さらには人々の記憶や、どのように語られてきたのかという言語の研究も進められるようになった。また第二次世界大戦だけでなくその後のアメリカによる戦争犯罪やいまだに頻発する紛争における戦争責任についても研究が広がってきている。日本慰安婦問題を契機に世界各地における戦時性暴力の研究も始まった。また戦争責任論の中では、強制連行・強制労働のような戦時中の植民地での行為が扱われていたが、植民地そのものに対する責任を問う植民地責任論も提起されるようになった。


4 参考・引用文献 ・『戦後歴史学用語事典』監修:木村茂光 発行:東京堂出版 ・「戦後日本の戦争責任論の動向」赤澤史郎http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/00-6/akazawa.htm

S.K


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