所得再分配
出典: Jinkawiki
税制や社会保障などを通じて、高所得者から低所得者へ富を移転させること。
貧富の差や階層の固定化に伴う社会的弊害を抑制するために、19世紀末より欧米で制度化された。富の再分配・所得再分配は、資源配分の公平性を確保し、社会に流動性をもたらす効果がある。低所得者にも階層の上昇の機会と公平性をもたらす一手段でもあり、現代民主主義国家に必要不可欠な要素となっている。
どの水準による再分配が適切と言えるのかはそれぞれの文化における価値観によって異なり、富の再分配にどのような手法を使うか、どの水準の分配を行うかは各国でさまざまな議論がある。生活保護制度は、「所得の多い人」から「所得の少ない人」への所得再分配であり、医療保険制度は、医療サービスの利用を通じて、主として保険料を財源とした「健康な人」から「病気の人」への所得再分配である。
ただし、行き過ぎた再分配は資源配分の効率性を阻害し、経済効率の低下を招くとの批判が為され、近年では所得再配分の抑制を主張する新自由主義が台頭している。
参考文献:小塩 隆士、田近 栄治 著 『日本の所得分配』